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「2007年はビジネスと技術開発で幅広く事業展開」
半導体ベンチャー,SFT社長の吉田氏が本格事業化“元年”を宣言
[2007/03/12]


代表取締役社長
吉田健人氏
 「2006年までに基本技術の開発を完了した。2007年は,基本技術をそのまま使った第1世代製品の商談が進む一方,より広い応用製品に展開できる第2世代技術の開発を進める。このような取り組みにより,2007年はビジネス展開と技術開発の両面から幅広い事業展開を進める年になるだろう」。システム・ファブリケーション・テクノロジーズ代表取締役社長の吉田健人氏はこのように発言,同社にとって2007年が本格事業展開の“元年”になるとの認識を示した(写真)。同社は,HDTVに代表されるデジタル民生機器に最適なメモリー混載ICソリューションの提供を目指し,2003年10月に設立された。その後は主に技術開発に注力し,半導体のオリンピックと呼ばれる国際学会「International Solid-State Circuits Conference 2006(ISSCC 2006)」で発表するなど,着実に成果を上げてきた。2007年以降はこのような技術成果を生かし,いよいよ本格事業展開に打って出る。

HDTVに代表されるデジタル民生機器に最適なメモリー・ソリューションの提供
 SFTは,HDTVなどに代表されるデジタル民生機器に最適なメモリー混載プラットフォームを提供している。このような用途では,画像などの大容量データを高速処理するため,マイクロプロセサを含めたデータ処理プロセサと大容量メモリーの間を高速にデータ転送できる必要がある。
 このような高速データ転送が必要な用途に対する解としては,これまではDRAM混載技術を使ったSoC(system on a chip)や高速バス・インタフェースを使う方法などの選択肢があった。しかし,これらの方法はコストや性能の面でそれぞれ課題を抱えていた。例えば,性能面では最も優位なDRAM混載SoCはコスト面で三重苦を抱えている。(1)高コストで歩留まりが低くなりやすいDRAM混載プロセスを使わなければならない。(2)応用製品ごとにSoCチップを設計する必要があり,そのための開発期間は試作を含めると半年近くにもなり,その開発費は膨大になる。(3)実用的なチップ面積のSoCに搭載できるメモリー容量は64Mビット程度と小さいため,応用製品に必要なメモリー容量を確保するためにメモリー階層を2階層にするなどの工夫が必要になり,そのために余分なチップが必要になる。このようなことから民生機器としては高コストになりすぎる。他の方法もいずれも一長一短で,デジタル民生機器向けには性能とコストを両立させられないジレンマを抱えていた。
 これに対してSFTが開発したプラットフォームは,DRAM混載SoCが抱えていた(1)〜(3)の問題をすべて解決しながら,DRAM混載SoCと同等の高速データ転送を実現できる。このため,HDTVなどに代表されるデジタル民生機器に最適なデータ転送速度,コスト,メモリー容量などをすべて満たしたメモリー・ソリューションを提供できる(図1)。具体的には,独自開発した多ビットの専用メモリ「SISRAM」と,シリコン・インターポーザとマイクロバンプを応用したマルチチップ技術「システム・イン・シリコン・アーキテクチャー」を組み合わせる。SISRAMは,シリコン・インターポーザ上に搭載することを前提とし,既存のDRAMよりも入出力端子の数を増やすことで,バンド幅の拡大,高周波成分の低減によるEM対策を実現するとともに,テストの容易化の機能を可能にしている。システム・イン・シリコン・アーキテクチャーは,シリコン・インターポーザを使うことにより,チップと基板の線形熱膨張係数を同じにし,微細なバンプ構造を可能とした。これにより,通常の有機系基板を用いたSiPに比べ,超多ビット・バスを構築している。この結果,64MビットSISRAM2個とASICをシステム・イン・シリコン・アーキテクチャーで1024ビット・バス幅で接続したところ,動作周波数25MHzで23.1Gビット/秒のデータ転送が可能で,例えばHDTV 向け1080pの映像をH.264に準拠した動画圧縮の動き予測処理を実行することができた。また,同様の構成のまま66MHzで動作させれば7.5Gバイト/秒の高速データ転送が可能である。

ビジネスと技術の両面で事業が加速
 このような性能を達成したことで,すでに開発済みの第1世代製品の商談が進み始めた。SFTはユーザーの社名を明らかにしないが,「2007年中にはSISRAMを搭載したデジタル民生機器が市場に出てくる見込み」と言う。さらに複数のユーザー候補からは性能面およびコスト面での一層の向上要求を受けており,これに向けた第2世代技術の開発を進めていることを明らかにした。
 具体的には,(1)高性能・低消費電力化のための実行バンド幅向上を実現するユニファイド・メモリー・バス(図2)の開発,(2)低コスト・低電力化を実現する128MビットSISARMの開発,(3)小型・低消費電力化を実現する貫通ビア実装技術の開発,の3点である。これらを開発することでより携帯機器にも利用可能な高性能・低電力・低コスト化を実現できる第2世代版製品を開発する。このうち(2)については,すでに128Mビット品の設計を完了した。2007年3月にはチップ試作を完了して性能試験を実施する予定である。
 さらにこの第2世代版に留まらず,2007年以降も性能面およびコスト面の向上を目指した技術開発を推進していく。同社の技術開発ロードマップによれば1年ごとにSISRAMの容量を2倍に拡大していく計画であり,これに合わせてデータ転送速度も向上させていく。具体的には,64Mビットと128MビットのSISRAMではデータ転送速度は2.1G〜4.2Gバイト/秒なのに対し,256Mビットと512Mビットでは3.2G〜6.4Mバイト/秒を達成していく計画である(図3,図4)。このような性能面およびコスト面の向上は,「すでに商談しているユーザーからの要求であるばかりではなく,より広い応用製品にわれわれの製品を展開するための原動力になるだろう」(吉田氏)。
 なお,同社はこれらの技術開発に当たり,独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO 技術開発機構)の研究開発型ベンチャー・中小企業支援を対象にする「産業技術実用化開発助成事業」による開発支援を受けている。

図1
図1

図2
図2

図3
図3

図4
図4
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  ・フルハイビジョン対応ビデオ・カメラの開発工数を削減 [2007年05月10日]



記事要点掲載先:日経BP.netTech-On!Silicon Online


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