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香川大学 工学部・知能機械システム工学科

香川大学からの提案
細胞用の“X線CT”技術を使った
薬剤評価システムや疾患診断システムの応用研究の提案



 今回,我々が開発した技術は,「単一細胞分光トモグラフィ技術」である。細胞を“X線CT”のように観察する技術で,量子ドットなどで多色染色した細胞の3次元分光分布計測技術として利用できる。成分変化に伴う屈折率の3次元分布変化計測や,透明細胞を光学的空間フィルタリングにより可視化し並進,深度方向の3軸の速度検出をすることが可能になる。これにより,浮遊細胞であってもトラッキングを容易に行うことができ,長時間の経過観察が可能となる。これらの技術は,ゲノム創薬等の効率的な薬剤開発への貢献が期待される。


●技術ニーズ
 近年,生きたままの細胞の計測技術が強く望まれている。研究グループでは,具体的なアプリケーションとして,薬剤評価システムへの応用を目指していく方針である。薬剤投与による細胞応答を経時解析することで,薬剤の有効性や安全性を評価していく。

●研究テーマ/技術成果
 単一細胞分光トモグラフィ技術は,(1)可変位相差2次元分光技術,(2)近接2光束ピンセット技術,(3)細胞トラッキング技術,の3要素で構成している。

位相可変フィルタで微弱な蛍光を効率的に利用
 (1)可変位相差2次元分光技術は,微弱な蛍光を効率的に利用し,高解像度の2次元分光像を取得する技術である。生細胞の解析では,複数の蛍光たんぱく質で細胞を標識し,観察が行われる。ただ蛍光標識は,高精度の冷却CCDカメラでやっと観察できる程度の微弱光であり,従来の分散型分光器では高解像度で解析できなかった。
 そこで,光の位相をずらす「位相可変フィルタ」を利用して光の利用効率を上げる方法を開発,より微弱な蛍光計測を可能にした。染色に使用した蛍光色素ごとにインターフェログラム(光の干渉波形)を取得し,フーリエ変換してスペクトルを得る。これにより蛍光標識した細胞の2次元分光像を高解像度に観察できるようになった。

2つの光ピンセットで非接触で細胞操作
 (2)近接2光束ピンセット技術は,非接触で細胞操作する技術である。2つの光ピンセットを用いて細胞を回転させることができる。つまり,細胞を回転させながら多方向から位相差像を取得し,コンピュータで3次元位相差像を構築できる。また,付着細胞だけでなく浮遊細胞を対象に,細胞成分の3次元局在や形態変化,細胞の容積を解析できる。

透明体である細胞を干渉稿として可視化
 培養液中に存在する細胞を効率的に捕える技術が,(3)細胞トラッキング技術である。特定の空間周波数成分の回折光を抽出し,透明体である細胞を干渉稿として可視化する。
 これまで細胞のトラッキングは,高価な高速CCDカメラと画像処理装置で行われてきた。
 しかし,シャッタ・スピードが遅いので動きの速い細胞は捕えられなかった。本方法では,安価なフォトダイオードで,シャッタ・スピードを最大で109/秒まで高められる。また,深さ方向のトラッキングも可能であり,動きの速い細胞を,見逃すことがない。

●特徴
1. 光の利用効率が高い2次元の蛍光標識分光技術
2. 細胞小器官などの成分の違いを3次元位相差像として可視化
3. 透明体である細胞を光学的に可視化し,深度方向も含め3次元でトラッキング可能


●実用化に向けた課題
 本計測技術のライフサイエンス分野でのインパクトのある研究成果を出すためには,医学,農学関係の研究者に使っていただける,操作性の良い試作機が必要である。それにより,新たな市場が開拓され,その事業性が明確になり産業化への道筋が明らかになる。

●今回の提案内容
 細胞分光断層像計測技術の実用化に向け,光学系技術者以外の,医学,農学系の研究者が操作可能である試作機製作を目指し,光学機器メーカーとの共同開発を希望する。

●論文/特許実績
(1) 透明浮遊細胞高速トラッキングのための光学的可視化技術, 精密工学会論文誌(2007)印刷中
(2) Technique for measuring the rotational velocity of a single cell,Applied Physics Letters (in press)
(3) A method for measuring the three dimensional distribution of a fluorescent dye in a cell membrane,Applied Physics Letters(in press)
(4) Displacement measurement of the depth migration of transparent cells,Applied Physics Letters,89,241102,pp.241102-1-241102-3(2006.12)
(5) 3D Phase-contrast Imaging for Single Floating Cells, Applied Physics Letters,89,241117,pp.241117-1-241117-2(2006.12)
(6) 浮遊細胞の3次元位相差像イメージング技術,精密工学会論文誌,Vol.72,No.11,pp.1357-1362(2006.11)
(7) Variable phase-contrast fluorescence spectrometry for fluorescently stained cells, Applied Physics Letters,89,121103,pp. 121103-1〜121103-3 (2006.9)
・精密工学会論文賞(2006.3)「近接2光束ピンセットによるマイクロ粒子断層像計測技術」,ベストプレゼンテーション賞(精密工学会第10回知能メカトロニクスワークショップ)(2005.9.2)「単一細胞分光断層像解析アルゴリズム」,優秀講演賞(2006年度精密工学会高松地方学術講演会)(2006.11.18)「自己相関型白色位相シフト干渉計による細胞分光断層像計測」,優秀講演賞(2006年度精密工学会高松地方学術講演会)(2006.11.18)「光圧力微小粒子回転による細胞表層画像スキャン技術」

●備考
 本成果は,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)平成16年度産業技術研究助成事業による研究成果です。

【本件に関するお問い合わせ】
香川大学 工学部・知能機械システム工学科  助教授 石丸伊知郎
TEL:087-864-2325 FAX:087-864-2369
e-mail:ishimaru@eng.kagawa-u.ac.jp

【ニュースリリースはこちら】
  ・香川大が細胞用の“X線CT”技術を確立 [2007年03月12日]
【関連記事はこちら】
  ・香川大が細胞用の“X線CT”技術を確立 薬剤評価システムや疾患診断システムの応用に期待 [2007年04月03日]




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