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NASAにも採用されたオンリーワン技術による,
燃料電池自動車向けアルミ高圧水素容器


[2007/03/13]


 ホイール用ハブユニットなどに実績を持つ自動車部品の鍛造メーカーであるサムテックが,燃料電池自動車の燃料である圧縮水素を貯えるアルミ複合容器の国産化に初めて成功し,その出荷実績を明らかにした。アルミ複合容器とは,アルミ合金でできた継目のない円筒(アルミライナー)にカーボン繊維を巻き付けて補強した容器である(図1)。これまで,燃料電池自動車用のアルミ複合容器は,海外メーカーからの輸入品に限られていた。サムテックは,アルミライナーを生産しているが,今回カーボン繊維の巻きつけ技術を独自に開発,ライナー製造からカーボン繊維の巻き付けまでの一貫生産を構築して,アルミ複合容器としての生産が可能になった。これまで,2006年4月に70リットルで35MPaの規格で車載用高圧水素容器として高圧ガス保安協会の認可を取得,2006年12月までの半年間に国内自動車メーカーなど数社へ納入した。

軽量性と高耐圧性を両立するアルミ複合容器
 高圧ガスの貯蔵が求められている分野では,容器の高耐圧性と軽量性は重要な課題である。例えば自動車メーカー各社が開発を進めている燃料電池自動車では,燃料となる水素を貯蔵する高圧水素容器が,走行距離や燃費といった性能を向上させるため,小型・軽量化と高耐圧化の両立が求められている。このソリューションとして期待されているのがアルミ複合容器である。アルミニウムは,鉄より比重が小さいという特徴がある。容器外側に使用しているカーボン繊維は,引っ張り強度が極めて高い。これを,ライナーの円周方向と軸方向の2方向に巻くことにより,内圧への耐力を大きく向上させている。従来の鉄製容器とくらべ,同じ容器容量で総重量は約半分に軽量化できる。

NASAにも採用されたサムテックのオンリーワン技術
 サムテックは,アルミライナー製造においては,すでに国際的な導入実績や使用事例を持っている。同社では,アルミライナーを米国カリフォルニア州の工場で生産し,米国その他の国のアルミ複合容器メーカーへの納入実績を積み重ねている。特に,米国立航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration:NASA)の打上げロケットや人工衛星で使用される高圧ガスライナーでは,「当社独自の技術が高く評価されている」と自負する。
 これまで,ライナーを専門に手掛けていた同社であるが,独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO 技術開発機構)の産業技術実用化開発助成事業による助成の成果を利用して,カーボン巻き付けなどの容器化技術や性能評価技術など水素高圧複合容器開発に必要とされる技術を独自に開発した。この成果により,国産メーカーとして初の燃料電池自動車用圧縮水素のアルミ複合容器を開発することに成功した。現在同社では,容器設計からライナー製造,カーボン繊維の巻き付け,応力試験や破裂試験などを含む容器製造に必要な各種試験まで,容器製造に必要なほぼすべての工程を自社で手掛けられる体制を確立している(図2,図3)。このメリットは,アルミ複合容器分野では特に大きい。アルミ複合容器の設計は,ユーザーにより使用用途や充填ガスの種類が異なるため,製品ごとに個別仕様となる。例えば,容器の形状,アルミニウムとカーボン繊維の最適な組み合わせ,アルミライナーの厚みなど,ニーズにあわせた最適な設計が必要である(図4)。また,実際の製品化にあたっては,高圧ガス保安協会の認可を得なければならない。サムテックは,「設計から製造までの一貫した技術を持っているため,ユーザーのニーズに合わせたきめ細かい対応が可能。専門メーカー同士の協業・分業体制で製造した場合に比べ,工程間での調整が容易で,品質や納期の点で大きな強みとなる」(サムテック生産技術部生産管理課 森 貴昭氏)。
 アルミ複合容器は,宇宙航空分野から実用化が開始されたが,軽量性と高耐圧性いう特徴から,現在では,すでに在宅医療や消防分野など応用分野に広がりを見せている。充填可能なガスは,水素,窒素,酸素,ヘリウム,メタンなど幅広い対応が可能であるため,さらなる応用範囲の拡大も期待できる。今後同社では,応用開発のためあらゆる方面からの情報収集を積極的に進めていくという。

図1:アルミ複合容器の構造
アルミ複合容器の構造

図2:アルミライナー製造工程の概略
アルミライナー製造工程の概略

図3:容器製造工程の概略
容器製造工程の概略

図4:容器設計の流れ
容器設計の流れ



記事要点掲載先:日経BP.netTech-On!MEMS International


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