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卓上型シンクロトンを用いた
可搬型高精度非破壊検査装置開発に光子発生技術研究所が成功


[2007/03/19]


 耐震偽造建築問題や新幹線のトンネルの落盤事故など,大規模構造物の安全信頼性の問題が指摘されるなか,構造物の安全検査と保守の必要性が問われている。現状では,コンクリートなど建造物の安全性を検査する場合には,ハンマーなどで建造物を叩いて,その音で腐食や亀裂を探すという検査員の熟練度に頼った原始的な方法や,超音波や放射線(X線)で診断する方法が取られていた。しかし,これらの検査方法では,厚い構造物に対しての検査精度が不十分であることや,X線の場合には,検査時間が長時間に及ぶという難点があった。高エネルギーX線源である直線加速器(ライナック)を用いれば,厚い被写体に対して内部の透過検査が可能であるが,この場合は,厚みに依存する散乱X線の増加および光源サイズに依存した解像力の低下により検査精度は低下する。この難点を克服しうる,小型で高輝度なX線放射装置「みらくる」を開発したのが,光子発生技術研究所(滋賀県近江八幡市 山田礼子社長)である。「みらくる」に用いられるコア技術は,同社の最高技術責任者でもある山田廣成 立命館大学教授が研究・開発した可搬型シンクロトロン放射光装置である。シンクロトロン放射光装置は, GeVという高エネルギー電子を磁場で曲げてX線を発生させるもので,高輝度のX線を発生させ,最先端の研究に利用されているが,高エネルギー電子を収束させるため,兵庫県に設置されている「SPring-8」のような巨大装置となる。山田教授はこの問題を,共鳴入射法という入射技術と,シンクロトロン中に微小ターゲットを置くことによって解決した。2005年6月に,従来の1MeV(メガエレクロトロンボルト)から4MeVへと,公道での放射線量規制が改正されたことにも触発され,外径30cmという卓上サイズの超高輝度X線発生装置を完成,可搬式の高輝度X線源である非破壊検査装置「みらくるCV4(CV4)」が誕生した。

きわめて鮮明な撮像が可能 しかも拡大や軟組織識別も自在
 CV4の最大の特徴は,その輝度の高さと可搬性にある。
 精度の高さは実際に撮像した画像を見てもらえば,一目でわかる(写真参照)。

写真1:みらくる6Xと他のX線発生装置との画像の比較
みらくる6Xと他のX線発生装置との画像の比較
 ライナックは全体的に像がぼやけているが,「みらくる」では鮮明な画像が得られている。しかも,ライナックやX線管では明確に写し得ないゴムパッキンの部分まで,識別可能である。
 これは,高エネルギーX線を含んだ線質と数10μmという極めて小さな光源サイズに起因している。高エネルギーX線では,広い濃度範囲の透過写真を得ることが可能であるのに加えて,「みらくる」では,微小光源を用いているため,拡大撮影が可能で,しかもボケのない鮮明な画像が得られる。また,拡大撮影により散乱X線による画像の劣化を防止することが可能である。このため,CV4では拡大撮影によって透過度計の識別最小線径の基準値をクリアしている。(図参照)。

図1:透過度計識別最小線径とみらくるの比較
透過度計識別最小線径とみらくるの比較
光子発生技術研究所資料から抜粋

 また,屋外での検査では,漏洩放射線量が大きな問題であり,短時間の撮影が要求される。検出器の特性にもよるが,X線管だと50cmのコンクリートに対して2時間の照射時間を要するが,CV4では数分で可能であると見込まれている。こうした性能を生かすため,光子発生技術研究所では,立命館大学で発足した,コンクリートメーカーの担当者が集まるコンクリートの研究会とコラボレートし始めた。
 「コンクリートのどの部分を検査したいか,そしてそれをどう解決するかを研究しています。そこから,コンクリートの腐食度合,間隙具合,そして正面からの撮像では見えにくい鉄筋の重なりなどを見たいという要望があることを知り,開発に役立てています」(山田礼子社長)

多様な用途への適用が可能
 CV4のもうひとつの特徴である可搬性は,シンクロトロンの外径をX線管と同サイズの30cmにまで小型化したことで実現した。総重量は約1トン以下で,150×60×60cmのフレームに収まる。これによってロボットアームの先端に取り付けることも可能になったため,自由な位置から自由な角度での撮像に用いることができる。
 小型化の実現には,電子を曲げるための磁場に永久磁石を利用したことも貢献している。電源が不要になったため,冷却用ホース等の設備なども不要となり,簡素化・超軽量化・小型化を実現することができた。独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)産業技術実用化開発助成事業の助成を受け,このCV4を開発したが,この利用範囲は建造物の非破壊検査にとどまらないこともわかった。オンサイトでシンクロトン放射装置と同レベルの解析能力を有する装置の用途は,医療診断,X線顕微鏡,ナノCT,空港でのセキュリティチェックなど,広範囲にわたると考えられる。
 「様々な応用の可能性があると考えております。関心のある企業とは,是非色々と情報交換したい。」と山田社長は期待する。

【ニュースリリースはこちら】
  ・卓上型シンクロトロンを用いた可搬型高精度非破壊検査装置の開発に成功 [2006年12月26日]
【テクニカルノートはこちら】
  ・橋梁等のコンクリート構造物を対象にした非破壊検査装置の実用化共同開発の提案 [2006年12月26日]



記事要点掲載先:日経BP.netTech-On!


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