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タンパク質機能解析のカギは2種類の抗体
かずさDNA研究所 古閑比佐志氏に聞く
[2007/03/23]


 「異なる種に由来する2つの抗体を使うことで,タンパク質の機能解析を促進できる。現在,我々はウサギ由来のポリクローナル抗体を用いて,約2000種類のタンパク質の機能解析を進めている。この研究を加速するために,新たにニワトリ細胞由来のモノクローナル抗体を用いた基盤整備を検討している。具体的には,それぞれの抗体の利点を活用したアッセイ系を確立していく」。かずさDNA研究所ヒトゲノム応用研究部ゲノム医学研究室室長の古閑比佐志氏は,2種類の抗体を用いたタンパク質機能解析のプラットフォームを構築する考えを示した。
 その第1歩として,ニワトリ由来の免疫細胞「DT40」で抗体を作製するカイオム・バイオサイエンスに2種類の抗原に対する抗体作製を依頼,1つの抗体に関しては,ほぼ評価を終了した。今後,研究リソースとしてモノクローナル抗体を整備し,共同研究などに着手していく予定と言う。古閑氏に,背景や今後の展望を聞いた。

古閑比佐志氏
かずさDNA研究所ヒトゲノム応用研究部
ゲノム医学研究室室長

古閑比佐志氏
なぜモノクローナル抗体の整備を?
 かずさDNA研究所は,約2000種類のヒト長鎖cDNA(mRNAから合成されたDNA。KIAA遺伝子と命名)をライブラリ化している。このKIAAタンパク質の機能解析のために,全てのマウスKIAA遺伝子(mKIAA遺伝子)に対するウサギポリクローナル抗体を作製した。私は,これらの抗体を評価し,KIAAタンパク質の機能解析に必要な研究リソースを整備している。具体的には,抗体評価によって得られた結合定数や特異性の評価データ,質量分析データなどのデータベース化,これらの抗体を用いた新たな研究手法や抗体アレイなどの研究ツールの開発を進めている。
 現在分かっているだけで,KIAA遺伝子のうち約50種類が疾患と関連し,約80種類が疾患との関連が強く示唆されている。これらの遺伝子資源を有効に活用し,医薬品開発や食品開発などに応用していくために,抗体の整備とそれに紐付けされたアッセイ系の構築が必要になる。ただ,1遺伝子1抗体だとアッセイ系が限られる。また,ウサギへの免疫なので,その抗体を使い切ってしまうと,二度と同じものを手に入れることができない。そこで,カイオムに抗体作製を依頼した。まずは研究リソースとしてモノクローナル抗体を整備し,アッセイ系の幅を広げていく。

どの遺伝子由来のタンパク質に対する抗体か?
 糖代謝酵素遺伝子「mKIAA0089」(糖尿病や白血病などに関連)と機能未知の遺伝子「mKIAA2010」由来の抗原に対する抗体だ。両者とも抗体は取れており,前者はほぼ評価が終了,後者はこれから評価をする予定にしている。
 前者は,F9細胞を用いて免疫組織染色を行った。FITCで標識し,mKIAA89抗原の局在を調べた結果,ウサギポリクローナル抗体と同等の結果を得ることができた(写真1)。また,ウエスタンブロットでは,ウサギの場合,標的のタンパク質を前処理して変性させるが,カイオムのADLibシステムの場合,変性させてしまうと検出しにくい,つまり,生体に近い形のタンパク質を認識して抗体を獲得していると言える。GSTのタグをつけてウエスタンブロットで検証したが,いずれもバンドを確認できた。

どのようなアッセイ系への展開を考えているか?
 異種の抗体なので,サンドイッチアッセイの感度向上に役立つと考えている。また,ウエスタンブロットや免疫沈降法の二次抗体として利用すれば,バックグラウンドを減らしたり,二重染色などに応用できるだろう。それだけ,タンパク質の機能を詳細につかむことができる。抗体の評価が終了したら,共同研究先とカイオムの抗体を活用したアッセイ系の構築を進める予定だ。

今回,カイオムに抗体作製を依頼した理由は?
 細胞株としてDT40の評価は高く,また,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)の実用化開発助成を受けるなどして,「ADLibシステム」(理化学研究所とカイオムが共同で開発した抗体作製技術。関連記事1関連記事2)の改良が続けられている。具体的なメリットとしては,・抗体作製スピードが速い,・抗原量が微量で済む,・免疫に依存しないで抗体が取れる,・恒常的に抗体を作製できる,といった点が挙げられる。
 今回,依頼した抗体はそれぞれ3回ずつスクリーニングしたと聞いているが,それでも2カ月弱で抗体を作製している。また,ウサギの場合必要な抗原量は約1mgだが,ADLibシステムはわずか100μgで済む。
 免疫に依存しないので,例えば毒性を持つ抗原や免疫寛容のために抗体ができにくい抗原などで,(抗体が)取れる可能性がある。実際,mKIAA2010はウサギではなかなか抗体が取れなかったが,ADLibシステムでは取れた。取れない抗体が取れる意義は大きい。

写真1:免疫組織染色でmKIAA0089の局在を調べた
免疫組織染色でmKIAA0089の局在を調べた


記事要点掲載先:日経BP.netBiotechnology Japan


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