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独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構研究開発推進部
京都大学化学研究所


京都大学 化学研究所 高分子材料設計化学研究室からの提案
「超低費用・低環境負荷の新しい精密ラジカル重合」
の開発に関する意見交換や連携の提案



 【新規発表事項】
近年,リビングラジカル重合と称される精密重合法が,化学・電子・光学・医療等の最先端分野に用いられる高性能高分子の製造技術として脚光を浴びています。しかしながら,そのコストは高く,導入障壁として,コストの影響は大きいところです。そこで,京都大学化学研究所では,安価で安全で汎用のリン化合物,窒素化合物,あるいはアルコール化合物を触媒として用いる新発想のリビングラジカル重合を開発し,従来技術に比べて,はるかに低コストの重合を実現しました。触媒の安全性と取り扱いの容易さから,環境安全性と簡便性にも優れます。さらに,触媒の使用量は微量で,触媒残渣の問題も軽微です。触媒の非導電性と安全性に鑑み,電子・医療分野への応用にも触媒残渣の問題がほとんどなく,これらは独自の応用分野となりえます。この技術の活用についての意見交換,連携を提案します。


1.技術ニーズ
 高分子材料の物性は,高分子の分子量や分子量分布,あるいは共重合配列(異種モノマー配列)や分岐構造,末端構造といった一次構造に大きく依存し,これらを制御することは,高分子材料開発の大きな鍵となっています。近年,これらを制御する精密重合法として,リビングラジカル重合法(LRP)が登場し,最先端の高付加価値材料の有効な製造法として脚光を浴びています。LRPは,現時点ではまだ大きくはないものの,潜在的な世界市場規模,年間約2兆円とも言われる一大成長分野です。巨大な高分子市場全体の5%にも匹敵し,世界中の民間企業がLRPの利用を検討しています。LRPが採用されると期待されている高分子材料としては,半導体用・ディスプレイ用レジスト,熱可塑性エラストマー(自動車材料等),接着剤,ポリマーアロイ,各種フィラー添加剤,潤滑剤,界面活性剤,塗料,インク,包装材,医薬除放材,パーソナルケア製品(化粧品,整髪料等)等が挙げられます。さらに,従来にない新しい電子(電池材料等)・光学(発光材料等)・分離・生体材料等の開発にもLDPの優れたプロセスは貢献します。しかしながら,現在のLRP技術は高価な化合物や重金属を使用しているため,コストや環境問題が大きく(図参照),その実用化はまだ限定的なものに留まっているのが現状です。

2.研究テーマ/技術成果
 この問題に対し,安価で安全で汎用のリン化合物,窒素化合物,あるいはアルコール(酸素)化合物が,LRPの優れた触媒となることを発見し,科学的にも新しいタイプのLRPを開発しています。これは,触媒に非金属を用いたはじめてのLRPであり,従来,触媒の機能には遷移金属に特有の性質が欠かせないと広く認識されていたことに鑑みると新発想のLRPです。この重合法により,費用と安全性の問題を一気にかつ劇的に払拭しえます。

3.特徴

 今回開発したもみ殻活性炭の特徴は以下の通りです。
1. 触媒は市販の安価な化合物で微量(下記)しか要さず,世界で最も低費用で重合を制御できます。制御剤費用を,従来技術の1/10以下にすることが可能です(ポリマー1kgの生産あたり,数百円〜数千円を,数円に)。実質的に,通常のラジカル重合(汎用高分子の製造)と同じ費用で,重合の制御(高付加価値材料の製造)が可能であり,制御剤費用のゴールと位置づけられます。
2. 触媒の活性が驚くほど高く,100 ppm以下という世界最少レベルの触媒量で重合を制御できます。
3. 触媒の微量化により,生成高分子からの触媒除去の必要性が実質的になく,従来法では多量に要しうるこの工程のためのエネルギーと溶媒(石油)を削減できます。
4. その省資源(省コスト)効果は大きく,触媒の安全性とあわせて,低環境負荷を実現します。
5. 触媒は取り扱いが容易で空気安定性が高く,重合に特別な装置が不要です。
6. 触媒は無色・無臭で,その溶解に配位子を要しません。余分な費用が不要です。
7. 触媒は非導電性で毒性が低く,電子材料や医療材料への応用にも触媒残渣の問題が実質的にありません。これらは本重合の独自の応用分野となりえます。
8. 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)の産業技術研究助成事業による研究開発成果を活用しております。

4.実用化に向けた課題

  現在までに,スチレンと(機能性)メタクリレートの単独およびランダム・ブロック共重合に成功しています。現在,適用可能なモノマー群の拡張に力を入れています。

5.今回の提案内容
本技術は,スチレンとメタクリレート類について,既に実用可能な技術レベルにあると考えます。本技術は多岐の用途分野に適用可能であり,多様な企業との連携を希望しています。意見交換や連携を御考えいただける企業を募集いたします。

6.論文/特許実績
J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 13347-13354 など
出願中特許(国内5件,外国2件)

7.問い合わせ先
(1) 技術内容について
  京都大学 化学研究所 高分子材料設計化学研究室 助教 後藤 淳
  TEL: 0774-38-3168  E-mail:メールアドレス
  URL:http://www.cpm.kuicr.kyoto-u.ac.jp/
(2) 制度内容について
  NEDO技術開発機構 研究開発推進部 若手研究グラントグループ
  高崎 幸一,日高 博和,千田 和也
  TEL:044-520-5174   FAX:044-520-5178
  個別事業HP:産業技術研究助成事業(若手研究グラント)



【ニュースリリース】
  ・高性能高分子材料の超低コスト製造方法を京都大学が開発  [2008年9月12日]




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