(株)テクノアソシエーツ TOPページへ テクノアソシエーツサイトへ

TOPページへニュースへ連携提案へ注目技術&事業コラムへコラムへ


テクニカルノートロゴ


独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
旭川医科大学内科学講座


旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野からの提案
「自家細胞移植による腫瘍血管リモデリング誘導」の技術開発に関する
意見交換や共同研究の提案



 進行がん患者の予後改善を目的として腫瘍血管をターゲットとした血管新生阻害剤薬(注1)の開発が精力的に進められています。しかし,従来の抗がん剤(5-FUOやジェムザールO等)と同様に薬剤耐性(注2)が生じたり,血管の退縮というアプローチが必ずしも有効ではない場合もあるため,膵がんなどの難治がんの克服には至っていません。そこで,旭川医科大学は,独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として,血管再生能を有する自家細胞の移植によって腫瘍血管を修復(リモデリング)する治療技術の開発を開始しました。実験用マウスでは腫瘍血管の機能的破錠に伴う低酸素域を減少させ,血管の熟成(安定化)を促進するなど,がん微少環境を制御できる可能性が示されました。高齢又は様々な合併症を有する多くのがん患者への治療を可能にするため,骨髄採取を行わずに末梢血(注3)を用いた細胞調整技術の確立を目指しています。この自家細胞移植による腫瘍血管リモデリング治療の実用化の加速に向けた情報交換や,共同開発を提案します。

(注1) 血管が新しく生まれるのを阻害する薬剤。アバスチン®やスーテント®など。
(注2) 疾病の治療に用いられる医薬品などを反復して投与するうちに,投与されたヒトや動物が抵抗性を獲得して効力が低下していく現象のこと。
(注3) 全身の血管中を流れる血液のこと。血液細胞は骨の中にある骨髄で作られるが,骨髄から血管に流れ出した血のことを具体的に示すために末梢血と呼ばれる。


1. 技術ニーズ
 進行がん患者の予後改善を目的として,腫瘍血管の「異常性」をターゲットとした血管新生阻害薬の開発が精力的に進められており,医療現場における急速な普及が予測されています。しかし,無秩序な血管新生を誘導する機構は多岐にわたることと,従来の抗がん剤(5-FU®やジェムザール®等)と同様に薬剤耐性が生じるという問題点も存在します。また,血管の破錠に伴い腫瘍組織がより酸素が少ない環境(低酸素状態)におかれ,がんの悪性度が増してしまうことが懸念されます。このような理由から,膵がんなどの難治がんの克服には至っていません。従来の薬物療法や放射線などの抗腫瘍療法では為しえない,腫瘍血管の根本的な再生・修復が行なえる治療法の確立が求められています。

2.研究テーマ/技術成果
 旭川医科大学は,血管再生能を有する細胞の移植により難治がんの特性である血流のアンバランスを是正し,抗がん剤分布の効率化と低酸素環境の解除を図るアプローチを考案しました。がん患者の血液から採取した末梢血単核球(注4)を培養し血管再生細胞(血管前駆細胞)へと分化誘導します。このような自家細胞を移植することによって,腫瘍血管を成熟化(安定化)させ,がん組織内の低酸素域を減少させます。骨髄採取を必要としないため,高齢又は様々な合併症を有する多くのがん患者に適します。担がんマウスに対して,骨髄細胞(単核球)の分化誘導によって得た「血管再生細胞」の移植をした結果,腫瘍血管の内腔拡大(注5)に伴う腫瘍中心部での血流改善,低酸素域の縮小,さらに腫瘍縮小がみられることを確認しました(超音波造影剤(注6)による評価で,腫瘍内の血流域が35%から70%へと改善しました)。また腫瘍増殖や転移促進などの有害事象は認められていません。今後は,ヒト末梢血単核球をソースとして血管再生細胞を分離・回収するシステムの開発を進め,自家移植によって抗がん剤や放射線などの抗腫瘍療法への感受性を高めることで,副作用の少ないがん医療の実現を目指します。

(注4) 血液中にある円形に近い核を有する白血球のこと。主にリンパ球や単球からなるが,幹細胞や前駆細胞も含む。
(注5) 腫瘍血管には周皮細胞(注7)の裏打ちのない不安定なものが多く,高度の蛇行や断片化がみられる。血管前駆細胞の移植によってこれらの構造的な欠陥が是正され,その結果,血液の通り道が十分確保された成熟血管の割合が増加する。
(注6) ソナゾイド®(第二世代著運派造影剤)を用いて,持続的な血流イメージングを得た。
(注7) 毛細血管は管を作る細胞とそれを取り巻く細胞からできており,前者を内皮細胞,後者を周皮細胞と呼ぶ。


3.特徴

(1) 自家細胞の移植により腫瘍血管を再生・修復(リモデリング)するがん治療法です。
(2) 構造的・機能的に異常性を有する腫瘍血管の成熟化(安定化)を促進することで,がん低酸素域を減少させつつ,がん細胞をとりまく微少環境の正常化をもたらします。
(3) がん患者自身の末梢血単核球をソースとするため,基本的に移植の際の拒絶反応はありません。
(4) 骨髄採取を必要としないため,高齢又は様々な合併症を有する多くのがん患者に適します。
(5) これまでの担がんマウス実験で,腫瘍血管の内腔拡大に伴う腫瘍中心部での血流改善,低酸素域の縮小,さらに腫瘍縮小がみられることを確認しています。腫瘍増殖や転移促進などの有害事象も認められていません。
(6) 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)の産業技術研究助成事業による研究開発成果を活用しております。

4.実用化に向けた課題

現在,ヒト末梢血単核球をソースとした分化誘導培養の最適化を検討中です。細胞数と生存能力(viability)に焦点を絞り,動物血清(注8)を含まない培地を用いて一定の成績を得ていますが(低分子化合物や3次元構造を有する足場を用いることで血清依存性の低下がみられることを確認しています),細胞にダメージを与えずにいかに効率的に治療用細胞を分離・回収するかが課題となっています。

(注8) 血液が凝固して上澄みにできる淡黄色の液体成分のこと。

5.今回の提案内容
今後,最適な分化誘導を可能にする材料の探索から,培養デバイスの開発・試作,さらに細胞調整システムの安定した作成へと発展させて行きたいと考えています。この自家細胞移植による腫瘍血管リモデリング治療の実用化を加速するために,共同で開発を進めるパートナー企業を募集します。

6.論文/特許実績
国内出願1件,国内出願準備中1件,PCT 2件(1件は出願中)

7.問い合わせ先
旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野
講師 水上 裕輔
TEL: 0166-68-2462   FAX:0166-68-2469
E-mail: メールアドレス
研究室HP: http://www.asahikawa-med.ac.jp/dept/mc/imed3/
旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野(第3内科)






オープンイノベーション・フォーラム

オープンイノベーション静岡

トピックス
パナソニックの住宅関連事業を支える耐酸被覆鋼板、接着技術や樹脂コーティング法に独自ノウハウ

【座談会】レアアース泥の採泥・揚泥は戦略技術、焦らず段階を踏んで確実に商用化を目指す

IoT、大手自動車メーカーが製造ラインに導入約60万円のシステムで不良品の発生を大幅低減

人気記事ランキング(2018年8月)










オープンイノベーションコラム

オープンイノベーション・フォーラム




| 産業イノベーションHOME | 技術&事業インキュベーション・フォーラムHOME |
Copyright (c) 2005-2013 TechnoAssociates, Inc. All rights reserved.

INTERVIEW Index ブレークスルー技術Index 提案Index コラムIndex イベントIndex お問い合せ