(株)テクノアソシエーツ TOPページへ テクノアソシエーツサイトへ

TOPページへニュースへ連携提案へ注目技術&事業コラムへコラムへ


テクニカルノートロゴ


独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
岡山大学大学院自然科学研究科


岡山大学からの提案
安価なタンパク質解析用シリコンチップを用いた
医薬スクリーニングの新手法に関する共同研究の提案



新薬開発競争が激化する中で,数ある物質の中から薬効のある物質を見つけだす”スクリーニング”が非常に重要な役割を占めています。岡山大学では大阪大学との共同研究の結果タンパク質の相互作用をテラヘルツ波(1テラヘルツは10の12乗ヘルツ)と呼ばれる光波に変換するチップの試作に成功しました。15mm角のシリコンで作られた安価な素子上にタンパク質を集積化させることが出来るので,数万種類のタンパク質を高速に分析することが可能となります。SPR法の様な他のスクリーニング手法に比べて,圧倒的に高いスループットが実現でき,新薬開発分野などさまざまな生体関連の研究・開発の高効率化に貢献します。現在,タンパク質を集積化させたチップの開発で共同研究やスクリーニング分析に関連する意見交換が可能な企業を求めています。


1. 技術ニーズ
 薬は体内のタンパク質と相互作用を起こすことで薬効を発揮します。新薬の開発では,数多くの薬の候補から適切な物質を見つけるスクリーニング作業が重要です。従来は,蛍光法などのタンパク質に標識を付ける方法が一般的でした。しかしながら,標識が結合しにくいタンパク質の分析が困難な点,標識を結合させる工程が必要である点などの問題点がありました。また,SPR法はタンパク質の相互作用を測定する標識不要の技術として注目されていますが,光学系の厳密な調整や,装置の洗浄などの工程が煩雑であるという点でスクリーニングにはほとんど用いられていませんでした。

図1.創薬候補物質のスクリーニング技術に関する従来技術(左)と今回開発した技術(右)の解説図
 図1.創薬候補物質のスクリーニング技術に関する従来技術(左)と今回開発した技術(右)の解説図


2.研究テーマ/技術成果
 タンパク質の相互作用をテラヘルツ波に変換するチップの試作に成功しました。このチップ上に様々な種類のタンパク質を集積させ,同時に計測することが可能であるため,新薬開発でのスクリーニングに威力を発揮します。
 チップに極短レーザーパルスを照射することで,テラヘルツ波が発生しますが,このときチップ上でタンパク質が相互作用による電位ポテンシャル変化がおこると,チップ内の電子状態が変化しテラヘルツ波の強度が変化します。この強度変化を測定することで,タンパク質の相互作用の進み方を分析することができます。

3.特徴と競合技術への強み

 このチップを用いた分析手法の特徴は以下の通りです。また競合技術は複数有りますが,表1はその中の1つSPR法について本技術と比較したものです。
(1) 低コスト
チップは確立されたシリコン技術で作製可能なため,非常に安価な使い捨てチップを提供することが可能になります。
(2) 簡便性
標識を必要としない簡単な手順での計測が可能になります。
(3) ナノスケールのチップで測定可能
ひとつのタンパク質試料を測定する面積を数十ナノメートル程度(近接場効果使用時)の小さい面積にすることが原理的に可能になります。
(4) 同時計測が可能
タンパク質試料を集積化することで15mm角チップ上で数万種類の相互作用を同時計測することが可能になります。
(5) 優れた空間分解能
本技術は,レーザー(波長:790nm)を測定光として使っているため,空間分解能が数10nm(近接場使用時)と優れています。
(6) 使い捨てが可能
使い捨てチップとすることができるため,洗浄などの煩雑な工程を必要とせず,創薬候補物質等のスクリーニング検出の効率を飛躍 的に向上できます。

表1.創薬候補物質のスクリーニング技術に係る本技術と競合技術との比較表
表1.創薬候補物質のスクリーニング技術に係る本技術と競合技術との比較表

図2.テラヘルツ波センシングプレートの構造図
図2.テラヘルツ波センシングプレートの構造図

 図2は開発したテラヘルツ波センシングプレート(試作品)の構造図です。センシングプレートは,裏面を鏡面研磨したサファイア基板上にSi薄膜とSiO2薄膜を作製した構造となっており,Si薄膜とSiO2薄膜の膜厚はそれぞれ150 nmと275 nmです。レーザーをサファイア基板面よりSi薄膜へ入射すると,Si内部でテラヘルツ波が発生し,これをサファイア基板裏側より検出します。SiO2薄膜側(上面)は検出面となっており,測定対象であるタンパク質等を含む溶液に接触させるようになっています。
 このチップ上面に予め測定したいタンパク質と反応させたい物質(例:創薬候補物質)を固定化しておき,様々な種類のタンパク質を含む溶液を接触させることで,タンパク質と創薬候補物質との反応を測定することができます。複数の物質をチップ上に固定化しておくことにより,複数の蛋白質を同時に計測することも可能となり,新薬開発でのスクリーニングに威力を発揮します。
 測定時には,チップに裏側から極短レーザーパルスを照射することでテラヘルツ波が発生し,これを定常的に検出していますが,チップの上面で溶液中のタンパク質とチップとの間で電気的な相互作用によりチップ内の電子状態が変化すると,検出されるテラヘルツ波の強度が変化します。この強度変化を測定することで,タンパク質と創薬候補物質との相互作用の強さ(反応速度,結合の強さ)を分析することができます。

4.実用化に向けた課題
(1) チップへのタンパク質試料の集積化
(2) チップへのタンパク質試料の集積化
(3) 他の装置との定量的な性能比較

5.今回の提案内容
本技術を用いた分析装置の開発のための各要素技術での共同研究を募集します。
(1) チップへのタンパク質試料の固定・集積化
(2) 光学装置パッケージング技術
(3) スクリーニングに向けた技術の最適化に関する意見交換


6.論文/特許実績
Toshihiko Kiwa et al., A Terahertz Chemical Microscope to Visualize Chemical Concentrations in Microfluidic Chips, Jpn. J. Appl. Phys. Vol.46, No.44 (2007) pp.L1052-L1054.
Toshihiko Kiwa et al.,Chemical sensing plate with a laser-terahertz monitoring system
Applied Optics, vol. 47, no. 18, (2008) pp. 3324-3327.
出願特許:3件

7.問い合わせ先
  紀和 利彦 (岡山大学大学院自然科学研究科 講師)
  TEL&FAX:086-251-8130  E-mail:メールアドレス
  URL:http://www.sense.elec.okayama-u.ac.jp/ 岡山大学 計測システム工学研究室



【ニュースリリース】
  ・岡山大学,安価な使い捨てタンパク質解析チップの試作に成功  [2008年10月8日]



オープンイノベーション・フォーラム

オープンイノベーション静岡

トピックス
パナソニックの住宅関連事業を支える耐酸被覆鋼板、接着技術や樹脂コーティング法に独自ノウハウ

【座談会】レアアース泥の採泥・揚泥は戦略技術、焦らず段階を踏んで確実に商用化を目指す

IoT、大手自動車メーカーが製造ラインに導入約60万円のシステムで不良品の発生を大幅低減

人気記事ランキング(2018年8月)










オープンイノベーションコラム

オープンイノベーション・フォーラム




| 産業イノベーションHOME | 技術&事業インキュベーション・フォーラムHOME |
Copyright (c) 2005-2013 TechnoAssociates, Inc. All rights reserved.

INTERVIEW Index ブレークスルー技術Index 提案Index コラムIndex イベントIndex お問い合せ