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秋田大学 工学資源学部


秋田大学 生物・構造有機化学研究室からの提案
「高選択性レアメタル抽出剤」の技術開発に関する共同研究の提案



 ハイブリット車や携帯電池など多くのハイテク製品にはPt(白金),Pd(パラジウム),W(タングステン)といった希少金属(以下,レアメタル(注1))が使われています。しかし,レアメタルは世界的に埋蔵量が少ない上に,その産出は特定の地域に偏在しており,いかにレアメタルを安定的に供給できるかが今後の産業競争力の鍵となります。レアメタルは工場から排出される廃液・廃棄物やゴミとして廃棄されたハイテク製品の中にも含まれています。これら廃液や廃棄物に埋もれているレアメタル(アーバンマイン)からの有効利用が期待されていますが,市販されている現在の金属回収剤(注2)では様々なレアメタルが混在している廃棄物から特定のレアメタルのみを短時間で効率よく分離・回収することが困難となっております。そこで,秋田大学 工学資源学部では,独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として,3次元構造を持つ含硫黄大環状化合物(チアカリックス[n]アレン(注3))を用いたレアメタル抽出剤を開発しました。チアカリックス[n]アレンの高い金属親和性を利用し,特定のレアメタルを短時間で分離・回収できるシステムを実現可能にする技術です。このチアカリックス[n]アレンを用いたレアメタルの分離・回収システムの早期実用化に向けて,この分野や課題に知見を持つ企業や研究組織と意見交換,共同研究することを提案します。

(注1) 原子番号57番のランタン(La)から71番のルテシウム(Lu)までの 15元素のグループ(ランタノイド)に,原子番号21番のスカンジウムと39番のイットリウム(Y)を加えた17元素の総称。
(注2) 金属回収剤の代表的なものにはCu(銅)の抽出に特化した抽出剤「LIX-84I」(米国COGNIS社製)があるが,レアメタルの抽出には適していない。また,レアアース用としてリン酸系の抽出剤「PC-88A」が市販されているが,金属の選択性に乏しい。より詳細な機能については表1を参照。
(注3) チアカリックス[n]アレンとはベンゼン環と硫黄(S)によって構築された環状化合物のこと。ベンゼン環同士をつなげている硫黄の影響により金属との親和性が高いことが知られている。


1. 技術ニーズ
 現在,多くのハイテク製品(ハイブリッド車や携帯電池等)には多種多様の希少金属が使われています。特にPt(白金),Pd(パラジウム),Rh(ロジウム)は白金族系金属(Platinum Group Metals:以下PGM)と呼ばれ,総産出量の半分以上が自動車排気ガス用の触媒材料として利用されています。しかし,レアメタルは世界的に埋蔵量が少なく,中国や南アフリカなど,ある特定の資源国に偏在しており,日本では多くの鉱物資源と同様,そのほとんどを輸入に頼っています。一方,工業製品などを生産している工場からの廃棄物・廃液には様々なレアメタルが混在しています。また,身近なゴミとして廃棄される電子製品の多くにもレアメタルが含まれています。これら廃棄物や廃液からレアメタルを効率的に回収・再利用できればレアメタルの慢性的な需給逼迫を解消して安定した供給を実現できるといわれていますが,現在一般に市販されている金属抽出剤では,レアメタルが複雑に混在している中から特定のレアメタルのみを分離・回収することは困難です。特定のレアメタルのみを短時間で効率よく分離・回収できる抽出剤の開発が急務となっています。

2.研究テーマ/技術成果
図1 チアカリックス[n]アレン
図1 チアカリックス[n]アレン
  本学では,含硫黄環状化合物であるチアカリックス[n]アレンを用いた金属抽出剤を開発しました。チアカリックス[n]アレンは図1に示すとおり,お椀状の3次元構造を持ち,分子内に存在している硫黄(S)の影響から金属との親和性が非常に高い化合物です。本学では,このチアカリックス[n]アレンの金属親和性に着目し,さらに金属親和性を高めるために様々な置換基の導入を行い,新たなレアメタル抽出剤を開発しました。先ず,産業界での需要の高いPGMの抽出実験として,自動車触媒工場から排出された廃棄物を酸にて溶解させたPGM水溶液にチアカリックス[n]アレン誘導体溶液を添加し,液-液抽出実験を実施したところ,図2に示すとおりカルボン酸体がZr(ジルコニウム)とPd(パラジウム)を高選択的に抽出できることを確認しました。今後は,白金に対する抽出能力を有する抽出剤の開発と,様々な工場廃液を使ったレアメタル(インジウムやチタンなど)抽出実験を進めていく予定です。

 図2 本技術(チアカリックス[n]アレン)によるレアメタル抽出能力
  図2 本技術(チアカリックス[n]アレン)によるレアメタル抽出能力

  表1 本研究結果と既存金属抽出剤との性能比較
表1 本研究結果と既存金属抽出剤との性能比較


3.特徴

本学が今回開発したチアカリックス[n]アレンを用いた金属抽出剤の特徴は以下の通りです。
(1) 耐酸性が高いため,強酸性の水溶液中のレアメタルを非常に安定的に抽出します
(2) Pd(パラジウム)に対して,PGM水溶液から95%以上の抽出に成功した実績が有ります
(3) Pt(白金)に対してPGM水溶液から40%程度の抽出に成功しています
(4) 土壌や水中からの重金属除去への応用も可能です
(5) 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)の産業技術研究助成事業による研究開発成果を活用しております

4.実用化に向けた課題

(1) 様々なレアメタル含有廃液に対しての実施,検討
(2) 逆抽出の検討
(3) チアカリックス[n]アレンの工業的(安定大量生産,低コスト化)合成法の検討

5.今回の提案内容
 チアカリックス[n]アレンを用いたレアメタルの高選択・高効率な抽出システムの早期実用化に向け,意見交換や共同研究を行なうパートナー企業や研究機関を募集します。具体的には,逆抽出技術や工業的(安定大量生産,低コスト化)合成法の改良によるチアカリックスアレンの収率向上を目指した開発を行います。また,レアメタル抽出に限らず,チアカリックスアレンの応用技術分野の探索に対して興味を持つ企業とも意見交換,共同研究の募集を行ないます。

6.論文/特許実績
<論文>
Manabu Yamada, Atsushi Shibayama, Yoshihiko Kondo and Fumio Hamada, "Selective extraction of precious metal from automotive catalyst residue by thiacalix[6]arene derivatives", Int. J. of the Soc. of Mat. Eng. for Resources.,15, 13-15 (2007).
<特許>
「レアメタル抽出剤」,近藤良彦,李 春斌,山田 学,濱田文男,特願2008-031127
「レアメタル,白金族系金属抽出剤及びレアメタル,白金族系金属抽出方法」,近藤良彦,柴山 敦,濱田文男,山田 学,赤間三浩,今井貴紀,特願2007-122166(PCT/JPN2007/061464)
「レアメタル,白金系金属抽出剤」,近藤良彦・柴山 敦・濱田文男,特開2007-239088
「レアメタル,白金系金属抽出剤及びそれを用いたレアメタル,白金系金属抽出方法」近藤良彦・柴山 敦・濱田文男,特開2007-239066


7.問い合わせ先
  秋田大学 工学資源学部 助教: 近藤 良彦
  TEL:018-889-2440   FAX:018-837-0404  
E-mail:メールアドレス
  研究室HP:http://www.ipc.akita-u.ac.jp/~hamada/hamada-2.htm
秋田大学工学資源学部 濱田研究室






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