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独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
大阪大学大学院工学研究科 生体外でヒトの血管細胞の積層化に成功
‐ ヒトの細胞組織モデルとして再生医療・創薬分野へ期待 ‐
(a)は今回開発した細胞積層化技術の概略図。細胞が接着した基板をフィブロネクチンとゼラチンの溶液へ交互に浸漬することで,細胞表面にナノ薄膜を形成する。その後,2層目の細胞を播種(はしゅ)・接着させる。これを繰り返すことで,3次元の積層構造が得られる。(b)本技術により積層した5層構造のヒトの血管モデル組織。4層のヒト臍帯(さいたい)動脈由来の血管平滑筋細胞の最外層に,ヒト臍帯静脈由来の血管内皮細胞を1層だけ積層させた。
1.背景及び研究概要 近年のiPS細胞の樹立により再生医療の躍進が期待されていますが,再生医療の基本概念である生体外での細胞の3次元組織化と生体組織に近い機能の発現については,必要な技術が確立されていません。様々な種類の細胞を生体外で3次元的に組織化(積層化)するためには細胞の上に細胞を均一に接着させる必要がありますが,通常,細胞同士は接着しないため,細胞の積層化は困難でした。この課題を克服し,なお且つ生体的に安全な組織構築技術の開発が求められています。本研究では,細胞外マトリックスであるフィブロネクチン−ゼラチンのナノ薄膜を細胞表面に形成することで次層の細胞が接着する足場を提供し,細胞を均一に積層化できる新しい技術を開発しました。これにより,生体外でヒトの細胞を用いた血管の積層構造を世界で初めて構築することに成功しました。細胞の種類を問わず,どのような表面形状にも応用できる普遍性の高い細胞積層化技術です。 2.競合技術への強み
3.今後の展望 本研究で作製した血管モデルを再生医療や創薬研究へ応用するためには,実際の血管と同じ機能を有していることを実証する必要があります。現在,血管内で平滑筋細胞を収縮させる働きを持つエンドセリンや弛緩させる働きを持つ一酸化窒素(NO)の産生等により,実際の血管の収縮・弛緩と同じ挙動を示すか検討しています。筋芽細胞を用いて作製した“骨格筋モデル”や心筋細胞を用いて作製した“心筋モデル”についても,同様に機能を評価していきます。将来的には,これらを含め様々な組織モデルを一枚のチップに集約した“ヒト組織チップ”を開発し,創薬研究における臨床試験前のヒト組織への薬剤効果判定評価や,化粧品・化成品分野における動物実験の代替法としての展開を考えています。 実証実験を加速化させるため企業との情報交換や連携を強化していく予定です。11月17日〜18日に東京大学本郷キャンパスにて開催される「日本バイオマテリアル学会シンポジウム」にてパネル出展を行います。会場で,これまでに作製した血管モデルや骨格筋モデルのサンプルを披露する予定です。 4.その他 (1)研究者の略歴 平成15年9月 鹿児島大学大学院理工学研究科 短期修了(博士(工学)),平成15年4月〜平成17年3月 日本学術振興会特別研究員,平成16年1月〜3月 スウェーデン ルンド大学大学院免疫工学専攻 客員研究員,平成17年4月〜平成18年7月 大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻 特任助手(常勤),平成18年8月〜 大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻 助手(平成19年4月 助教に改称)。 (2)受賞 平成18年3月 日本化学会第86春季年会 第20回「若い世代の特別講演会」特別講演証受賞,平成18年7月 第52回高分子研究発表会(神戸)ヤングサイエンティスト講演賞受賞,平成18年11月 第44回日本人工臓器学会大会Yoshimi Memorial T.M.P. Grant受賞,平成20年3月 日本化学会第88春季年会優秀講演賞(学術)受賞。 5.問い合わせ先
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