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2009年1月28日
 
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科

熟練者の力覚情報を抽出・再現し
その技能を伝達・継承する支援システムを開発
 〜モーションキャプチャでは困難であった力覚情報の定量化を実現〜 

 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として,慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科 桂 誠一郎専任講師は,熟練者の力覚情報(注1)を抽出・再現しその技能を伝達・継承する支援システムを開発しました。従来のモーションキャプチャ(注2)では実現が困難であった力覚抽出に基づく熟練スキルの解析や,力覚伝送技術によるトレーニングシステム,ロボットへのスキルの転写,シミュレータ開発等を可能にする画期的な技術です。
 団塊世代の定年退職が進みつつある中,日本の製造業の国際競争力を支えてきた熟練工の知識・技術・技能の若い世代への伝承問題がいよいよ現実的に深刻になってきています。そこで本研究では,アクチュエータを埋め込んだ力覚機能付きの工具や装置を用いて,加工中の力覚情報を「ハプトグラフ」(注3)で可視化し,パーソナルスキルの解析をしたり,力覚を別のアクチュエータで再現したりしてスキルトレーニングシステムとして応用可能な技術を開発しました。
 今後,具体的な熟練作業のデータ抽出や解析に関して,様々な業界の企業・関連組織と共同開発していく予定です。同時に必要となるインターフェースの開発やスキルトレーニングシステム全体の構築を産業界との連携を通じて進めて行きます。


図1 アクチュエータを埋め込んだ力覚機能付きスキルトレーニングシステムの可視化概略図
図1 アクチュエータを埋め込んだ力覚機能付きスキルトレーニングシステムの可視化概略図


 アクチュエータを埋め込んだ力覚機能付きの工具や装置を用いることで,力覚センサレス(注4)で加工中の力覚情報を高精度に取得することが可能となります(上図)。この力覚情報は電気信号として取得されるため,「ハプトグラフ」として可視化してパーソナルスキルの解析をすることや,力覚を別のアクチュエータで再現することで,トレーニングシステムへの応用が期待されます。

(注1) 押し動作や加工動作のような作業における力の入れ具合の感覚のこと
(注2) カメラで人や物体の動きを測定してコンピュータに取り込み,その動画を解析する3次元グラフィックスにおける手法
(注3) ハプトグラフ(新語)は,ギリシャ語でHapto「触れる」+graph「画」の意味
(注4) 従来の力覚情報の取得には力覚センサが用いられてきたが,アクチュエータの制御情報に基づき力覚センサを使用することなく取得を行う手法のこと


1.背景及び研究概要
 熟練者のスキル保存・伝承は生産現場の深刻な問題となっており,生産技術分野をはじめ様々な分野で力覚情報の記録・再生・伝送に関する技術の確立が切望されています。今回本研究では,熟練者の有するスキル獲得のための,スキルや技能をディジタルデータベース化する支援システムを開発しました。社会ニーズに基づき,実世界力覚伝送技術に基づくスキル獲得システムを構築することで,先進的な技術実習の実現を目指します。
 具体的には,力覚機能付きのアクチュエータを工具や装置に埋め込み,力覚センサレスで加工中の力覚情報を高精度に取得します。この力覚情報は電気信号として取得されるため,「ハプトグラフ」として定量的に可視化できます。この「ハプトグラフ」のデータを解析したり,力覚を別のアクチュエータで再現したりすることで,トレーニングシステム等に適用できるようになります。また,取得された力覚情報に時間的かつ空間的な処理を施すことで「ざらざら」「つるつる」といった触感の定量的で直感的な認識を可能にします。さらに,接触対象物の触覚標本化や,個人の持つスキル,癖の抽出が可能になり,触覚に基づいたデータベースを構築することが可能になります。


2.競合技術への強み
 今回開発した「ハプトグラフ」による可視化技術は,従来のモーションキャプチャ等と比較して次のような優位性があります。
(1) アクチュエータ制御により,従来の力覚センサを使用した場合の性能を大きく上回る検出帯域(DC〜1kHz),時間分解能(10kHz)の力覚検出性能を力覚センサレスで実現
(2) 人間の動きを「ハプトグラフ」により表現することで,動作の特徴,個人の癖といった情報の視覚的表示,評価が可能
(3) 「ハプトグラフ」により動作を可視化することで,スキルや癖に由来する周波数帯域やスペクトルの大きさといった情報を定量的に把握することが可能であるため,個人ごとの動作を記録したデータベースの作成が可能


表1 「ハプトグラフ」による可視化技術と従来技術との比較表
表1 「ハプトグラフ」による可視化技術と従来技術との比較表


3.今後の展望
 今後,以下の項目に関して知見あるいは興味を持つ企業・関連組織と意見交換や連携を通じて研究・開発を進めて行く予定です。
・ 具体的な熟練作業のデータ抽出・解析の共同実施
・ アクチュエータを含むインターフェースの共同開発
・ ロボットの繊細な力制御・スキル転写に関する共同開発
・ 将来の触覚通信・触覚放送用機器開発に向けた共同開発 他


4.その他
(1)研究者の略歴
慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科 専任講師 桂 誠一郎
2004年慶應義塾大学大学院・博士(工学)取得,2004年慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科 訪問研究員,2005年長岡技術科学大学 助手,2007年長岡技術科学大学 助教,2008年〜慶應義塾大学 専任講師

(2)受賞
2003年 電気学会 電気学術振興賞 論文賞,2005年 丹羽保次郎記念論文賞,2008年 The Best Paper Award of the 13th International Power Electronics and Motion Control Conference, EPE-PEMC '08他。


5.問い合わせ先
(1) 技術内容について
  慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科 桂研究室 桂 誠一郎
  TEL:045-566-1724  E-mail:メールアドレス
  研究室HP: http://www.katsura.sd.keio.ac.jp/ 慶應義塾大学 桂研究室
(2) 制度内容について
  NEDO技術開発機構 研究開発推進部 若手研究グラントグループ
  長崎,瀧浦
  TEL:044-520-5174   FAX:044-520-5174
  個別事業HP:産業技術研究助成事業(若手研究グラント)


【提案書】
  ・慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科からの提案書 [2009年1月29日]






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