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2009年2月10日
 
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
山口大学 農学部生物機能科学科

コスト的に競合可能な天然アスタキサンチンを
生産する環境調和型技術を開発
‐ 微細藻類モノラフィディウム属GK12株で遊離型アスタキサンチンを生産 ‐

 NEDO技術開発機構の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として,山口大学農学部生物機能科学科の藤井克彦氏は微細藻類の一種であるモノラフィディウム属GK12株から天然のアスタキサンチンを低コストで製造する技術を開発しました。
 アスタキサンチンはβ-カロテン(注1)やリコペン(注2)などと同じカロテノイド(注3)の一種で,高い抗酸化活性,抗炎症活性,養殖魚の色揚活性があるといわれています。人がアスタキサンチンを摂取することで,生活習慣病の予防や疲労回復,アンチエイジング,美肌作用といった効果があると期待されています。身体への作用はβ-カロテンの10倍以上ともいわれています。しかし,従来技術である生産微細藻類(ヘマトコッカス(注4))は培養が非常に困難であることから,アスタキサンチンは非常に高価な物質となり,産業応用が遅れています。ところが,本学で見出したモノラフィディウム属GK12株は,アスタキサンチン含量はヘマトコッカスよりも低いものの,無機塩培養液で良好に生育することから,雑菌繁殖リスクの低いアスタキサンチン生産が可能となります。つまり,ヘマトコッカスからアスタキサンチンを生産する場合,まず有機物を含む培養液で細胞を増殖させた後に,栄養欠乏条件でシスト化(注5)してアスタキサンチンを生産させる,という二段階プロセスが主流であり,増殖プロセスは雑菌繁殖リスクが高いことから厳密に衛生管理下された室内培養が必須であるのに対し,GK12株の場合は特別な培養設備を必要とせず,屋外での培養も容易であることから,アスタキサンチン生産の低コスト化,また,アスタキサンチンの産業応用が期待されます。さらにはGK12株の有効成分を研究するとともに,太陽光発電を活用した屋外培養システムの開発を進めております。
 今後本学では,産学連携を通じて産業応用のための技術開発を行っていく予定です。

図1,図2,図3
図1 モノラフィディウム属GK12株の顕微鏡写真,図2 屋外気象条件下でタンク培養(20L)をしている写真,図3 太陽光発電による電力自給式・屋外培養設備

(注1) 化学式 C40H56 の植物のもつ黄色色素のこと。細胞膜の損傷を防ぐ作用がある。
(注2) 化学式 C40H56,分子量 536.87 の赤色色素のこと。抗酸化作用が大きいとされる。
(注3) 天然に存在する色素で,化学式 C40H56 の基本構造を持つ化合物の誘導体のこと。
(注4) 緑藻綱,クラミドモナス目,ヘマトコッカス科に属の植物プランクトン。強い光や栄養飢餓などのストレスを受けると,強固な細胞壁を形成し休眠状態となり(シスト化注5),細胞内にアスタキサンチンを蓄積する。
(注5) 強固な細胞壁を持った休眠状態のこと。ヘマトコッカスはこのシストの状態の時のみアスタキサンチンを蓄積する。


1.背景及び研究概要
 アスタキサンチンは,抗酸化活性や抗炎症活性,色揚作用をもつカロテノイドです。天然のアスタキサンチンは,ヘマトコッカス(注4)藻類からの生産が最も研究されていますが,生育が遅く栄養要求性が高いことから,商業生産時の雑菌汚染リスクが高く,培養に多大なコストが掛かるといわれています。そのため,今日市場に流通しているアスタキサンチンの多くは石油由来の合成品です。しかし,その合成品でも,アスタキサンチンの価格は約$2,500/kgと高価です。また石油由来の合成品は食品や飼料への使用が禁止される傾向もあり,コスト的に競合できる天然アスタキサンチンの生産方法の確立が望まれています。
 そこで本学では,アスタキサンチンを生産する他種微細藻類モノラフィディウム(Monoraphidium)属GK12株に着目し,これを用いて天然アスタキサンチンを低コストに生産する方法を開発しています。GK12株は生育が速く栄養要求性が極めて低いことから,雑菌汚染に強く,その屋外培養では特別な培養設備を要しません。培養工程も,(ヘマトコッカス藻類では必要となる)増殖・シスト(注5)化の二段階プロセスが不要で,低コスト生産が期待されます。


2.競合技術への強み
モノラフィディウム属GK12株を用いたアスタキサンチン生産技術は次のような強みがあります。
(1) 生育がヘマトコッカスよりも速く,無機塩培養液で生育することから,雑菌汚染に強い
(2) ビタミンや有機炭素源に対する栄養要求性がなく低コスト
(3) 培養工程がシンプルであり,ヘマトコッカスのような増殖・シスト化二段階プロセスが不要
(4) 石油合成品と同じ遊離型アスタキサンチンを生産(ヘマトコッカスは脂肪酸が付加したエステル型)


3.今後の展望
 今後本学では,モノラフィディウム属GK12株を用いたアスタキサンチン生産に関心を持つ企業との意見交換や共同開発を通じて産業応用のための技術開発を行っていく予定です。
(1) 健康食品・医薬品生産メーカー(ヒトの医薬品・医薬品として利用できるかどうか)
(2) 医薬品生産メーカー(ヒトの健康食品として利用できるかどうか)
(3) 培養装置等の製造メーカー(環境調和型生産システムの開発,実証テスト)


4.その他
(1)研究者の略歴
1996年九州大学理学部生物学科卒業(神経生理学),1998年奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科博士前期課程修了(動物細胞の生化学・分子生物学),2001年東京水産大学(現・東京海洋大学) 水産学研究科博士後期課程修了(環境ホルモン分解微生物),2001年室蘭工業大学 応用化学科 助手(環境ホルモン分解微生物,微生物を利用したバイオマス資源化),2005年山口大学 農学部 生物機能科学科 助教授,2007年〜同学准教授
(2)受賞
井上科学技術振興財団研究奨励賞(平成15年2月4日)


5.問い合わせ先
(1) 技術内容について
  山口大学 農学部生物機能科学科 准教授 藤井克彦
  TEL:083-933-5835  E-mail:メールアドレス
  環境微生物学研究室 HP:http://web.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~kfujii/index.htm
(2) 制度内容について
  NEDO技術開発機構 研究開発推進部 若手研究グラントグループ
  岸本,松崎,千田,長崎
  TEL:044-520-5174   FAX:044-520-5178
  個別事業HP:産業技術研究助成事業(若手研究グラント)


【提案書】
  ・山口大学農学部生物機能科学科からの提案
コスト的に競合可能なアスタキサンチンを生産する微細藻類生育技術に関する提案






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