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ニュースリリース   ニュースリリース
 
2009年2月19日
 
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

β型ゼオライトを利用したタンパク質のリフォールディングに成功
‐ 特定のタンパク質を大量生産可能。
人工抗体・高機能バイオマテリアル等に応用展開 ‐

 NEDO技術開発機構の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として,独立行政法人産業技術総合研究所コンパクト化学プロセスセンターの冨樫秀彰氏は,β型ゼオライト(注1)を吸着担体としたタンパク質のリフォールディングに成功しました。
 タンパク質は,多種多様な機能を持つ重要な生体高分子であり,近年では,薬剤スクリーニング標的やバイオ製剤としての需要が益々高まっています。現在,大腸菌などの微生物を用いて特定のタンパク質を大量生産することは容易ですが,生産されたタンパク質のほとんどが不活性な不溶性タンパク質になってしまうケースが珍しくありません。研究室の開発レベルでは今のところ希釈法が多く用いられていますが,可溶化したタンパク質溶液を極短時間の間に数百倍に希釈する必要があるため大型化が困難です。そこで,本研究では,β型ゼオライトを用いて不活性タンパク質の機能を復活させる(リフォールディング)技術を見出し,タンパク質の大量生産につながる手法を考案しました。
 今後,タンパク質の大量需要に迅速に対応する分野として,人工抗体(注2)等の医薬品分野のみならず,高機能バイオマテリアルやその応用としての利用を目指しています。大規模タンパク質生産の実用化や当該市場の創出について企業との意見交換や連携を強化して行きます。

(注1)ゼオライトとは,結晶中に微細孔を持つアルミノ珪酸塩の総称。工業的に重要な物質であることが多いため,現在では人工的に合成されたものも多く,イオン交換材,触媒,吸着材等として利用されている。β型は単位胞組成Nan[AlnSi64-nO128]-xH2Oをもつ正方晶系の合成ゼオライトであり,合成時のアルミニウム濃度を変えることにより,n<7の範囲で組成を自由に変えることができる。
(注2)抗体はY字型の構造をしており,可変領域(上部)と定常領域(下部)に分けられる。抗原に結合する可変領域のみを標的へのターゲティングに利用し,低分子量の組換えタンパク質とすることによって,大腸菌での生産を可能にした機能性タンパク質を人工抗体という。


図1.β型ゼオライトを用いたタンパク質のリフォールティング法概要図
図1.β型ゼオライトを用いたタンパク質のリフォールティング法概要図


1.開発の背景
 タンパク質は,多種多様な機能を持つ重要な生体高分子であり,近年では,薬剤スクリーニング標的やバイオ製剤としての需要が益々高まっています。大腸菌などの微生物を用いて特定のタンパク質を大量生産することは容易ですが,生産されたタンパク質のほとんどが不活性な不溶性タンパク質になってしまうケースが珍しくありません。しかし,不溶性タンパク質を変性剤で可溶化してから再度巻き戻す(リフォールディング)ことによって活性なタンパク質が得られることがあります。本技術では,β型ゼオライトをタンパク質吸着担体として用いることで,タンパク質のリフォールディングを可能にしました。本手法は,T)変性剤(注1)によって可溶化したタンパク質をβ型ゼオライトに吸着させる,U)変性剤を洗い流す,V)適当な添加剤を加えた緩衝液によってタンパク質を溶離する,という3つのステップからなります。β型ゼオライトは,高濃度の変性剤を含む緩衝液中の可溶化タンパク質を効率よく吸着し,一般的な緩衝液中では吸着したタンパク質が溶離しないという特性を持つため,少量の洗浄用緩衝液によって変性剤を洗い流すことができます。溶離用緩衝液中には,タンパク質への悪影響が非常に小さい化合物が溶離剤として含まれており,非常に穏和な条件でタンパク質を回収することができます。また,タンパク質の吸着はイオン交換や金属キレートを利用していないので,必要に応じて溶離用(リフォールディング用)緩衝液中に塩やレドックス試薬(注2)を添加することもできます。

(注1)タンパク質分子の水素結合を切る化合物。グアニジン塩酸や尿素などが汎用される。
(注2)グルタチオンなどの酸化還元試薬。リフォールディングプロセスに汎用される試薬の一つで,タンパク質本来のジスルフィド結合を形成させるために有効。



2.本技術の強み
 本技術には次の強みがあります。
(1) タンパク質の大量生産
リフォールディングプロセスを大型化することで特定のタンパク質を大量に生産できるようになります。従来法(希釈法)では,可溶化したタンパク質溶液を極短時間の間に数百倍に希釈する必要があるため大型化が困難です。
(2) リフォールディングプロセスの制御が可能
リフォールディングプロセスを厳密に制御できます。大粒状化したゼオライトによりフロー系プロセスを構築すれば,リフォールディングにかける時間や添加剤の濃度など,今まで制御できなかった要素も制御可能です。


 表1.本技術と従来手法との比較
表1.本技術と従来手法との比較


3.今後の展望
 現在タンパク質の大量需要に迅速に対応する分野に注力して研究開発を進める所存ですが,将来的には人工抗体等の医薬品分野のみならず,高機能バイオマテリアルやその応用利用することも視野に入れています。タンパク質の大規模生産の実用化や新たな市場の開拓について,知見を持つ企業との意見交換や連携強化を図って進めて行きます。


4.研究者の略歴
 1996年 東京理科大学理工学部応用生物科学科卒業,1998年 東京理科大学大学院理工学研究科修士課程修了,2001年 名古屋大学大学院理学研究科博士課程修了,2001年 Yale University, Postdoctoral Associate,2005年 産業技術総合研究所 特別研究員


5.問い合わせ先
(1) 技術内容について
  独立行政法人産業技術総合研究所コンパクト化学プロセスセンター 冨樫秀彰
  TEL: 029-861-4633,   FAX: 029-861-4633  
E-mail:メールアドレス
  研究室HP: http://unit.aist.go.jp/ccp/038_hif.html
(2) 制度内容について
  NEDO技術開発機構 研究開発推進部 若手研究グラントグループ
  岸本,松崎,千田,長崎
  TEL: 044-520-5174    FAX: 044-520-5178
  個別事業HP:産業技術研究助成事業(若手研究グラント)


【提案書】
  ・産総研 コンパクト化学プロセスセンターからの提案
β型ゼオライトを吸着担体とした活性タンパク質リフォールディングプロセスの大型化に関する提案






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