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2009年2月24日
 
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
東京大学 工学系研究科 量子相エレクトロニクス研究センター

超微量インクジェット技術による
有機トランジスタ製造プロセス技術の開発
‐ サブフェムトリットル印刷プロセスによる微細化とゲート絶縁膜の薄膜化(3nm) ‐


 NEDO技術開発機構の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として,東京大学 工学系研究科 量子相エレクトロニクス研究センターの染谷 隆夫氏は,サブフェムトリットル(注1)クラスの超微量な液滴制御が可能なインクジェット印刷技術による有機トランジスタ(注2)の製造プロセスを開発しました。横方向寸法(チャネル長)の微細化およびインクジェットヘッドや電子機能性インクの最適化を進めることにより,高スループットな有機トランジスタ製造プロセス技術への応用が可能な技術です。
 試作した有機トランジスタのソースドレインを構成する銀電極の線幅は2μm,チャネル長は1μm。インクジェットの吐出液滴量は0.5-0.7fL,液滴着弾後の直径は1-2μmで,従来の数pL,直径20-50μmに比べ,はるかに微細化が可能となっています。素子サイズが小さくなることで,応答速度が向上し,省電力化が図れます。また,フレキシブルな有機トランジスタのゲート絶縁膜を3nmまで薄膜化することにより,駆動電圧を3Vまで低減しました。インクジェット印刷は,マスクを必要としないオンデマンド性が長所ですが,微細化が困難であることが課題でした。本技術により,微細化,低電圧化,低消費電力化を実現します。
 今後,このサブフェムトリットル・インクジェット印刷技術を用いて本格的な有機トランジスタを作成し,実用レベルの大面積シートデバイスの製造を目指して研究開発を進めて行きます。医療用や産業用の電子人工皮膚,防犯用や介護用の圧力感知マットなど様々な分野での応用が期待されます。


図1 サブフェムトリットルクラスの超微量インクジェット印刷技術による有機トランジスタの構造と写真,AFM像
  図1 サブフェムトリットルクラスの超微量インクジェット印刷技術による
      有機トランジスタの構造と写真,AFM像
a:Alゲート,極薄ゲート絶縁膜を真空蒸着し,金のソースドレインをパターニングした有機TFTの断面構造
b:チャネル長1μm,2μm,5μmのペンタセンTFTを焼成後の光学顕微鏡写真
c: チャネル長5μm,線幅2μmのペンタセンTFTのAFM像
(注1)フェムトリットルは千兆分の1リットルのこと。サブフェムトリットルはそれ以下をさす。
(注2)炭素と水素を骨格にした導電性材料(有機半導体)でつくられた電子スイッチである。



1.背景及び研究概要
 ロボティクスや圧力センサなどのアプリケーションでは,大面積シートデバイスを使うことで次世代ユビキタス情報社会に必要となる製品やサービスを実現します。大面積シートデバイスを作るためには半導体の製造用の単結晶シリコンが使われますが,単結晶シリコンは非常に高価であるため未だ十分に普及するまでに至っていません。そこで,本研究では,プラスチックフィルムなど安価で大面積化が容易な有機材料の上に印刷技術を応用して有機半導体集積回路を作成することを目的としています。

図2.医療,セキュリティ,エンターテインメントなどにおける大面積シートデバイスの応用イメージ
  図2.医療,セキュリティ,エンターテインメントなどにおける
      大面積シートデバイスの応用イメージ


2.競合技術への強み
 今回開発した超微量インクジェット技術による,有機トランジスタを使用した大面積シートデバイスおよびその製造プロセスには,従来技術と比較して次のような優位性があります。
(1) 省電力化
従来のインクジェット印刷技術に比べ1/10以下(3V以下)の電圧で駆動できます。
(2) サブフェムトリットルレベルのインクジェット技術を用いて微細化が可能
従来技術ではピコリットル(注3)クラスが限界でしたが,本技術ではサブフェムトリットル・クラスまで微細化可能です。
(3) フレキシブルな有機トランジスタによるシートデバイスを実現可能
伸縮性の高い素材による電子人工皮膚や圧力感知センサなどが製作可能となります。従来の単結晶シリコンではコスト的に実現が困難であった製品の実用化や応用ができるようになります。

(注3)1兆分の1リットルのこと。

 
  表1 本研究の有機トランジスタのインクジェット印刷プロセス技術と従来技術との比較表
表1 本研究の有機トランジスタのインクジェット印刷プロセス技術と従来技術との比較表



3.今後の展望
 今後,自由曲面に貼れることで初めて可能となる大面積シートデバイスのユニークなアプリケーションを示していく予定です。電子人工皮膚のように既存素子では実現されていない分野で有機トランジスタの突破口を切り開き,さらに新しいアプリケーシを開発することによって本技術の事業化や産業化に繋げて行きたいと考えています。


4.その他
(1)研究者の略歴
1997年東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻博士課程修了,1998年東京大学先端技術研究所講師,2001年日本学術振興会海外特別研究員(米国コロンビア大学化学科・ナノセンター 客員研究員),2003年〜東京大学工学系研究科助教授
(2)受賞
平成17年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 (2005年4月20日)
船井情報科学奨励賞 (2005年3月12日)
IEEE/ISSCC Takuo Sugano Outstanding Paper Award (February 7, 2005)
IEEE EDS Distinguished Lecturer (September 2004)


5.問い合わせ先
(1) 技術内容について
  東京大学 工学系研究科附属量子相エレクトロニクス研究センター 染谷隆夫
  TEL:03-5841-6820      FAX:03-5841-6828  
E-mail:メールアドレス
  研究室HP: http://www.ntech.t.u-tokyo.ac.jp/
(2) 制度内容について
  NEDO技術開発機構 研究開発推進部 若手研究グラントグループ
  小畠,松崎,千田,長崎
  TEL:044-520-5174    FAX:044-520-5178
  個別事業HP:産業技術研究助成事業(若手研究グラント)


【提案書】
  ・東京大学・工学系研究科からの提案
サブピコリットル印刷プロセスによる有機トランジスタを利用した大面積シートデバイスの開発に関する提案






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