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2009年2月26日
 
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
北海道大学大学院 工学研究科

使用済みNa-S電池から高純度ナトリウムを精製する技術開発
‐ 世界初のナトリウムの電解精製法で再び電池の原料に ‐

 NEDO技術開発機構の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として,北海道大学大学院 工学研究科 上田幹人准教授は,使用済みナトリウム(Na)‐硫黄(S)二次電池(Na-S電池(注1))から高純度のナトリウム(Na)を精製する技術を開発しています。一度のプロセスで99.9%以上の純度のナトリウムを精製する技術です。ナトリウムを精製すると同時にNa-S電池から回収した多硫化ナトリウム(Na2Sx)を処理して重金属吸着剤の製造開発にも取り組んでいます。
 Na-S電池は,従来の鉛蓄電池(注2)に比べて体積あたりのエネルギー密度が3倍程度高いためコンパクトに設計できる,振動や騒音が殆んどない,自己放電が少なく長時間変動に対応できる,といった特徴から電力会社における負荷平準化対策や工場における瞬停対策,風力発電や太陽発電の蓄電として使われてきています。Na-S電池は寿命が15年程度で,使用済みの電池の有効的なリサイクル方法はまだ見つけられていません。そこで,本研究では,ナトリウムの電解精製系という世界初の技術を開発し,高純度のナトリウムを製造する研究に取り組んでいます。この手法では現行の電解採取法よりも不純物の少ないナトリウムを生産することができます。また電池から排出される多硫化ナトリウムから,土壌や工場廃水から鉛等の重金属を除去するための安価で強力な吸着剤を製造します。
 今後,国内における資源リサイクルの更なる技術革新を目指し,活性金属の製造に精通する企業や研究組織と意見交換や連携を強化して行く予定です。

図1 本研究の提案におけるNa−S電池リサイクルフロー
  図1 本研究の提案におけるNa−S電池リサイクルフロー

(注1)負極にナトリウム,正極に硫黄を使用し,電解質としてβ-アルミナを利用した二次電池(充電式電池)のこと。特に大規模の電力貯蔵や,昼夜の負荷平準用途などに用いられている。
(注2)負極に海綿状鉛,正極に二酸化鉛を使用し,電解液として希硫酸を利用した二次電池のこと。正極から電解液中に硫酸が移動することで充電され,電解液中の硫酸が正極に移動することで放電される。



1.背景及び研究概要
 Na-S電池はもともと,体積あたりのエネルギー密度が高く長時間の蓄電に向くことから電力会社の揚水発電(注3)の代替を目指して開発が進められました。その後,環境を取り巻く事業の高まりから風力発電の長時間変動を吸収する蓄電池や,太陽光発電との組み合わせによる電力の安定化の用途としての需要が大きくなってきています。しかし現状では15年程度の寿命が過ぎたあとのNa-S電池の処理について,未だ効果的な手段が提案されていません。使用済みNa-S電池の中に残存する金属ナトリウムや多硫化ナトリウムを効果的にリサイクルできれば,国内における資源循環に効果的であり,新しいリサイクルシステムのいち早い構築が望まれています。
 そこで,本研究では,粗金属から高純度金属製造する電解精製プロセスを使用済みNa-S電池のリサイクルに応用することを提案しています。しかし,このナトリウムの電解精製プロセスは世界では未だ開発されていない技術であり,この技術の確立に成功すれば各種金属のリサイクルにも応用できるものと考えられます。図2にあるように,本研究では,使用済みNa-S電池のリサイクルプロセスを二つのルートに分割し,ナトリウムを回収し電解精製して元の電池の原料レベルに戻すプロセスと多硫化ナトリウムを焼成加工など施し重金属吸着剤を製造するプロセスについて研究を行っています。電解精製により製造される高純度のナトリウムは,再度電池の原料として使用される可能性があり,他の用途でも需要があると考えられます。重金属吸着剤は,多硫化ナトリウムの吸着性と炭素繊維を加工した活性炭の吸着性を合わせたWの吸着性能で土壌や工場廃水から鉛,クロム,カドミウム等の重金属を効率よく除去することができるものと考えられます。また使用済み電池が原料であるため,安価に製造できるようになります。

(注3)夜間における電力消費が少ない時間帯に,他の火力発電や原子力発電から余剰電力の供給を受けて,下部貯水池から上部貯水池へ水をくみ上げておき,電力消費が大きくなる昼間の時間帯にそのエネルギーを利用する水力発電方式のこと。

図2 Na-S電池から高純度ナトリウム(Na)と吸着剤を製造するプロセスの模式図
  図2 Na-S電池から高純度ナトリウム(Na)と吸着剤を製造するプロセスの模式図


2.競合技術への強み
 本技術は次のような強みがあります。
(1)一度のプロセスにより99.9%以上の純度のナトリウム(Na)を精製可能
(2)電解採取法に比べ省エネルギーで電解操業が可能
(3)土壌や工場廃水から鉛,クロム,カドミウム等の重金属を除去するための吸着剤の安価製造

3.今後の展望
 今後,本研究では,世界初のナトリウム電解精製を目指し,活性金属の製造に精通する企業や研究組織と意見交換や連携を強化して行く予定です。

4.その他
(1)研究者の略歴
平成9年3月北海道大学大学院工学研究科博士後期課程修了,平成9年4月北海道大学大学院工学研究科助手,平成12年12月ドイツ連邦共和国ドレスデン工科大学 物理化学電気化学研究所客員研究員,平成18年4月〜北海道大学大学院工学研究科助教授(現:准教授)
(2)受賞
平成15年4月 社団法人電気化学会 進歩賞

5.問い合わせ先
(1) 技術内容について
  北海道大学大学院 工学研究科 准教授 上田幹人
  TEL:  011-706-7813  E-mail:メールアドレス
  研究室HP:http://labs.eng.hokudai.ac.jp/labo/CorrLabo
北海道大学大学院 工学研究科 環境材料学研究室
(2) 制度内容について
  NEDO技術開発機構 研究開発推進部 若手研究グラントグループ
  村上,松崎,千田,長崎
  TEL:044-520-5174     FAX:044-520-5178
  個別事業HP:産業技術研究助成事業(若手研究グラント)


【提案書】
  ・北海道大学大学院・工学研究科からの提案
使用済みナトリウム(Na)‐硫黄(S)二次電池からの高純度Na精製および重金属吸着剤作成技術に関する提案






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