(株)テクノアソシエーツ TOPページへ テクノアソシエーツサイトへ

TOPページへニュースへ連携提案へ注目技術&事業コラムへコラムへ

 
ニュースリリース ニュースリリース ロゴ
 
2009年3月3日
 
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
岡山大学大学院自然科学研究科

可逆的変性カチオン化タンパク質の化学修飾技術を開発
‐ 細胞機能の制御,ナノ標的医療やがん免疫療法における創薬,
再生医療に応用可能 ‐


 NEDO技術開発機構の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として,岡山大学大学院自然科学研究科の二見淳一郎氏は,「可逆的変性カチオン化タンパク質の化学修飾技術」を開発しました(図1)。
 タンパク質の化学修飾技術を活用して過剰の正電荷を付与するカチオン化技術は,(1)タンパク質への細胞内透過性の付与,A変性状態での高い溶解性の付与,さらにはB変性状態のタンパク質を試験管内・細胞内で活性構造に変化させることが可能な技術です。医用工学分野において,遺伝子組換えをベースとした従来のタンパク質の発現や生成では,社会的および倫理的に許容が困難な場合が少なくないという課題がありました。本技術では,倫理的な問題を問われる遺伝子操作を一切伴わずによるタンパク質の発現や生成が可能であり,遺伝子組換えの代替技術として医用工学分野で幅広く応用することができます。
 現在,この要素技術を細胞機能の制御,ナノ標的治療(注1)やガン免疫療法における創薬,細胞再生医療(注2)への応用等について取り組んでおり,次世代の医用工学分野に供する基盤技術を創出することを目的としてさらに研究開発を続けています。これまでに,本技術によって試験管内の培養細胞に可逆的変性カチオン化タンパク質を導入した場合,遺伝子導入試薬を用いたプラスミドDNAの導入・発現の効率より5倍以上機能発現が向上することを確認しています。
 今後,本技術のカチオン化タンパク質による化学修飾技術を活用することで,倫理的,社会的な課題を克服し,上述のような医用工学や創薬分野でのさらなる応用と実用化が進展することが期待されます。

図1.「可逆的変性カチオン化タンパク質の化学修飾技術」の概要と実用化目指している応用分野
  図1.「可逆的変性カチオン化タンパク質の化学修飾技術」の概要と
       実用化目指している応用分野

(注1)ナノテクノロジーなどを医療に応用することにより,疾患部位のみを低侵襲で小さく選択的に治療する治療技術
(注2)人工的な培養で生成した細胞や組織を用い,病気やケガで失われた臓器や細胞を修復・再生する医療技術



1.開発の背景
 日本では遺伝子組換えを活用した動植物や医療に対する社会的な抵抗が大きい状況です。このため,科学的には妥当な安全性を有する遺伝子治療であっても,国内では普及が困難であるのが現状です。医療における遺伝子組換え技術の目的の多くは,細胞内でのタンパク質発現にあります。そこで細胞外から目的のタンパク質を導入できれば遺伝子組換えの代替技術となり得ます。
 このような発想から,細胞外からタンパク質発現を実現するための技術として,化学修飾技術を活用して過剰な正電荷をタンパク質に付与する「カチオン化技術」を開発しました。本研究では特に取り扱いが容易な変性状態のタンパク質に着目し,可逆的変性カチオン化タンパク質の化学修飾を,細胞機能の制御,ナノ標的治療やガン免疫療法における創薬,細胞再生医療などで応用される,次世代医用工学分野における基盤技術となることを目指し技術開発に取り組んでいます。これまで倫理的,社会的な観点から普及が進まなかった遺伝子組換え技術によるタンパク質発現を置換または補完する形で医用工学分野における様々な用途が期待されます。

2.本技術の強み
(1) 変性状態(不活性構造など)のタンパク質でも使用可能
細胞内で機能させたいタンパク質は,天然状態(活性構造)だけではなく,変性状態でも使用できます。
(2) 高純度の精製が可能で品質安定性も良い
変性状態のタンパク質はカチオン化により高い水溶性が付与され,さらに高純度な精製が容易にできます。可逆的変性カチオン化タンパク質は品質安定性に優れ,水溶液として4℃での長期保存が可能です。
(3) 取り扱いが容易
可逆的変性カチオン化タンパク質は天然状態のタンパク質の様なデリケートな取り扱いが不要で,細胞内に到達した時にのみ活性構造に巻き戻るプロドラッグ(注3)のような使用が可能です。この手法は転写因子類での利用実績があり,細胞再生医療分野への応用も期待されます。
(注3)元のままの形では薬作用を示さず,生体内で代謝されて初めて作用する薬。

  表1.医薬用目的における可逆的変性カチオン化タンパク質と
      遺伝子組換えタンパク質の比較
表1.医薬用目的における可逆的変性カチオン化タンパク質と遺伝子組換えタンパク質の比較



3.今後の展望
 カチオン化タンパク質の化学修飾技術では,タンパク質医薬や研究用試薬を中心とした医用工学関連分野に注力して技術開発に取り組んでいます。今後も,本技術による創薬や細胞再生医療へのさらなる応用に注力して行く意向です。研究開発においては,医薬品メーカーとの意見交換や共同開発なども本技術の実用化を目指して積極的に推進,提案して行きます。

4.その他
(1)研究者の略歴
1999年 岡山大学工学部自然科学研究科博士課程修了, 1999〜2002年 日本学術振興会特別研究員(PD)<この間2000年1月〜12月米国NHI/NCI訪問研究員> ,2002〜2003年 住友製薬株式会社ゲノム科学研究所,2003年2月〜2004年9月NEDOプロジェクト嘱託研究員<鞄本触媒>,2004年10月〜2005年9月NEDOプロジェクト専任研究リーダー<鞄本触媒>,2005年10月〜2008年9月 岡山大学大学院 講師,2008年10月〜現在 岡山大学大学院 准教授


5.問い合わせ先
(1) 技術内容について
  岡山大学 大学院自然科学研究科 機能分子化学専攻 医用生命工学講座
(工学部生物機能工学科)准教授 二見淳一郎
  TEL: 086-251-8217,  FAX: 086-251-8215  
E-mail:メールアドレス
  研究室HP: http://www.biotech.okayama-u.ac.jp/labs/yamada/index.html
(2) 制度内容について
  NEDO技術開発機構 研究開発推進部 若手研究グラントグループ
  岸本,松崎,千田,長崎
  TEL: 044-520-5174    FAX: 044-520-5178
  個別事業HP:産業技術研究助成事業(若手研究グラント)


【提案書】
  ・岡山大学大学院・自然科学研究科からの提案
可逆的変性カチオン化タンパク質の化学修飾技術による医薬品創薬,細胞再生医療応用に関する提案






オープンイノベーション・フォーラム

オープンイノベーション静岡

トピックス
パナソニックの住宅関連事業を支える耐酸被覆鋼板、接着技術や樹脂コーティング法に独自ノウハウ

【座談会】レアアース泥の採泥・揚泥は戦略技術、焦らず段階を踏んで確実に商用化を目指す

IoT、大手自動車メーカーが製造ラインに導入約60万円のシステムで不良品の発生を大幅低減

人気記事ランキング(2018年8月)










オープンイノベーションコラム

オープンイノベーション・フォーラム




| 産業イノベーションHOME | 技術&事業インキュベーション・フォーラムHOME |
Copyright (c) 2005-2013 TechnoAssociates, Inc. All rights reserved.

INTERVIEW Index ブレークスルー技術Index 提案Index コラムIndex イベントIndex お問い合せ