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2009年3月5日
 
新潟薬科大学応用生命科学部

代謝経路を改変した大腸菌によるDOIの大量生産技術を開発
‐ 酸化防止剤,接着剤,美白剤を効率よく簡易に合成可能 ‐


 NEDO技術開発機構の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として,新潟薬科大学 応用生命科学部 応用微生物・遺伝子工学研究室 准教授の高久洋暁氏は,代謝経路を改変した大腸菌によるDOI(注1)大量生産技術を開発しました(図1)。
 DOIは,医薬・農薬,酸化抑制剤等の化学品合成のために重要な中間原料です。 しかし,従来の生産手法,化学合成ではDOIを大量に生産することが困難でした。本技術は,試験管内または生体内でDOI合成酵素を作用させることで,グルコース(注2)からDOIを容易に合成することを可能にしました(図1上)。この新しい技術を用いて,現在までに大腸菌を利用したDOI大量生産システムの構築に成功しています。
 この技術は,1)栄養増殖期に発現するプロモーター(注3)と定常期発現プロモーターを組み合わせ,またポジティブエレメントのみを利用することにより培養初期から後期にかけて継続的にプロモーターが働く高発現システム,2)DOIの原材料であるグルコースを大腸菌の生育のためではなくDOI合成に優先的に利用できるように,遺伝子工学的に大腸菌の代謝経路を改変して構築した新規代謝システム(図1下)から成り立っています。グルコースからDOIへの変換効率は,化学合成に比べ格段に高く,ほぼ100%を達成しています。
 本技術を活用することで,これまで化学合成が困難であったDOIを医薬,農薬,酸化抑制剤など幅広い分野での応用・実用化が期待されます。



  図1 代謝経路を改変した大腸菌によるDOIの大量生産技術
図1 代謝経路を改変した大腸菌によるDOIの大量生産技術
図1 代謝経路を改変した大腸菌によるDOIの大量生産技術

(注1)DOI(2-デオキシ-シロ-イノソース)は,炭素六員環構造を持つベンゼン系化合物
(注2)一般にブドウ糖と呼ばれ,動植物のエネルギーになる単糖類の代表的な物質
(注3)DNAからRNAを合成する段階の開始に関与する,DNA上の特定領域における短い塩基配列



1.開発の背景
 今日,ほとんどの化学製品は,石油を原料として多段階の化学反応と有害または高価な金属を触媒として使用して生産されています。しかし,近い将来訪れると考えられている石油資源の枯渇や,現在でも問題となっている環境汚染などから,バイオマスを利用した生物学的変換による新しい生産方法が求められています。
 本研究では,DOI合成酵素遺伝子を導入した大腸菌がグルコースを栄養分として取得し,その過程で化学品合成のための重要な中間原料DOIを生産することに着目しました。グルコースは大腸菌内に取り込まれるとグルコース-6-リン酸に変換されたあと,複数の経路によりエネルギーとして利用されます。これらの経路のうち,DOI生産に関与しない経路の酵素遺伝子を破壊することにより,グルコースをDOI合成のためだけの基質として利用することができます。コンタミに強く,培養規模の大型化ができ,連続培養や高密度培養が可能なことから,酵母を利用した生産システムの構築も必要であると考え,本研究を開始しました。


2.本技術の強み
(1) 微生物の培養のみでDOIを大量に生産可能
DOI合成酵素遺伝子(BtrC)を組込んだ微生物を利用することで,培養という1ステップで多量のDOIの生産が可能です。また,DOIは2価フェノール(カテコール,ハイドロキノン,レゾルシンで酸化防止剤,接着剤,美白剤などに利用)に簡単に有機合成変換することができます。バイオマスから2価フェノールを得ることができ,環境負荷の低い省エネルギー・環境調和型循環産業システムによる物質生産ができます。
(2) グルコースからDOIへの変換効率が非常に高い
優先的にDOI合成に利用できるように大腸菌の代謝システムを改変して構築した新規代謝システムを利用した新規技術であり,その変換効率はほぼ100%です。
(3) プロモーターが継続的に働く高発現システム
DOI合成酵素遺伝子(BtrC)を高発現させるシステムについても,栄養増殖期に発現するプロモーターと定常期発現プロモーターを組み合わせ,またポジティブエレメントのみを利用することにより培養初期から後期にかけて継続的にプロモーターが働く高発現システムを構築し,利用しています。



  表1.代謝経路を改変した大腸菌によるDOI生産と従来の方法によるDOI生産の比較
表1.代謝経路を改変した大腸菌によるDOI生産と従来の方法によるDOI生産の比較


3.今後の展望
 代謝経路を改変した大腸菌によるDOIの大量生産技術では,現在,DOIを原材料として変換が可能なベンゼン系化合物を取り扱う製造業の分野に注力して研究開発に取り組んでいます。DOIは糖尿病薬であるボグリボースなど擬似糖へ変換することが容易であるため,今後は医薬品・食品業界へ展開する可能性も探索していきます。また,産学連携への取り組みとして,微生物によるバイオマス資源からのDOI高生産の共同開発,DOIの有用物質への変換における共同開発などを積極的に推進,提案していきます。


4.その他
(1)研究者の略歴
2002年 東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了, 2002年〜 新潟薬科大学 応用生命科学部  応用微生物・遺伝子工学研究室 助手,2007年〜 新潟薬科大学 応用生命科学部  応用微生物・遺伝子工学研究室 助教,2008年〜 新潟薬科大学 応用生命科学部  応用微生物・遺伝子工学研究室 准教授
(2)受賞
第8回インテリジェント・コスモス奨励賞
「微生物によるバイオマスから化学工業原料の非石油依存型生産システムの開発」


5.問い合わせ先
  新潟薬科大学 応用生命科学部 応用微生物・遺伝子工学研究室 准教授 高久洋暁
  TEL: 0250-25-5119,  FAX: 0250-25-5021  
E-mail:メールアドレス
  研究室HP: http://www.nupals.ac.jp/~amage/


【提案書】
  ・新潟薬科大学 応用生命科学部からの提案
代謝経路を改変した大腸菌によるDOIの大量生産技術に関する提案






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