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2009年3月10日
 
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
東京大学大学院 薬学系研究科

ナノファイバー類を溶液や乾燥状態で
安定に単分散する新しい手法を開発
‐ カーボンナノチューブの径に対する選択性をもちながら
緩和な条件で単分散可能に ‐

 NEDO技術開発機構の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として,東京大学大学院 薬学系研究科の加藤大氏は,ナノファイバー類を溶液や乾燥状態で安定に単分散する新しい手法を開発しました。
 近年カーボンナノチューブやアミロイド線維(注1)などナノサイズのファイバー状物質の物性や機能等が明らかになりつつあり,それらの大量供給や精度の高い評価分析を行う需要が高まってきています。しかし従来の添加剤,生体分子,合成高分子を用いた手法では,ナノチューブ自身の凝集性により効率良く分離精製することが困難でした。今回開発したナノファイバー類を安定に単分散する手法は,ナノファイバー類同士の凝集を抑制し,溶液や乾燥状態で安定に単分散することが可能であり,従来法では不可能であった半年以上にも及ぶ分散したナノチューブの保管が可能になります。また本分散剤の構造を変化させることで,対象物質の太さに対する選択性を有することも明らかとなりました。
 本技術により,試料間のばらつきや欠陥の少ないナノチューブの供給が可能となるため,ナノファイバー類を高精度に評価できる系の構築が可能になると期待されます。現在,この手法を用いて単分散したナノファイバーの分離・精製・評価の研究に注力していますが,今後はナノ物質を組み込んだ機能性材料の開発やアルツハイマー病治療薬のシードといった応用分野の開発も企業との連携を強化し進めて行く予定です。

(注1)βシートコア構造をもち,また内部構造にプロトフィラメントのより合わせがある等の特徴を持つ長さ数μm,径10nm程度の針状凝集体

図1.開発した手法を用いて単分散したナノチューブの概念図
図1.開発した手法を用いて単分散したナノチューブの概念図
開発した分散剤がナノチューブに巻きつくことで,安定した単分散状態を維持されていると予想している。


1.開発の背景
 科学の進展によりカーボンナノチューブ,アミロイド線維,繊維状ファージなどナノスケールの直径とナノ〜マイクロメートルの長さを有するファイバー状物質の物性,機能等が明らかとなってきました。これらの研究成果を社会に還元するには,ナノファイバーの大量供給や安全性の評価が必要です。そこで本研究では,ナノファイバー類の高精度・高効率な分離精製法を提案し,試料間のばらつきや欠陥の少ないナノチューブの供給を可能にするナノファイバー類の長期間安定な単分散法を開発しました。この技術では,多環芳香族であるトリフェニレン環と脂肪酸よりなる分散剤を繰り返し加えることでカーボンナノチューブの単分散溶液を調製できます。本分散液の特徴は,溶液を乾燥させても,再び溶液を添加することで,単分散溶液を容易に再調製できることです。その結果,乾燥して保管し,必要な時に溶液を加えるだけで,単分散溶液に戻るため,従来から問題となっていた試料間のばらつきなどを抑えることが可能になりました。その他にも,本手法で調製した分散液は,有機溶媒を添加してもナノチューブの単分散状態が維持されています。さらには,分散剤の脂肪酸部位の鎖長を変化させることで,分散され易いナノチューブの太さが変化するなど,ナノチューブの利用の際に非常に有用な特徴を兼ね備えています。本研究は,東京大学工学系研究科 丸山茂夫教授,理化学研究所 福島孝典チームリーダーとの共同・支援のもと行っています。

2.本技術の強み
(1) ナノチューブを緩和な条件で水溶液に単分散させる方法を開発
(2) 分散液を乾燥させても,溶液を加えることで再び単分散溶液を容易に調製することができます
(3) 単分散したナノチューブの長期保存が可能
(4) 水溶液のみならず,有機溶媒との混合液にもナノチューブを単分散することが可能
(5) 分散剤の鎖長を変化させることで,分散されやすいナノチューブの太さが変化した。

  表1.本技術と従来手法との比較
表1.本技術と従来手法との比較


3.今後の展望
 今後,以下の知見を持つ企業・研究組織等と意見交換や共同開発,研究会・フォーラム,試作サービスを通じて研究開発を加速化して行きます。
(1) ナノファイバーの分離・精製・評価などに関連する分析機器メーカー
(2) ナノ物質を組み込んだ機能性材料を開発する化学・電子機器メーカー
(3) アルツハイマー病治療薬のシード探索を行っている製薬メーカー
(4) 受託分析を行っている分析メーカー,他


4.その他
(1)研究者の略歴
1994年東京大学薬学部製薬化学科卒業,1996年東京大学大学院薬学系研究科修士課程修了,1999年東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了,1999-2000年スタンフォード大学化学科博士研究員,2000-2006年静岡県立大学薬学部講師,2006-2007年東京大学ナノバイオ・インテグレーション研究拠点大学院工学系研究科応用化学専攻 特任助教授,2007-2008年同学同専攻特任准教授,2009年-東京大学大学院薬学系研究科 特任准教授
(2)受賞
2003 日本分析化学会中部支部奨励賞
2006 日本分析化学会奨励賞
2007 日本薬学会奨励賞


5.問い合わせ先
(1) 技術内容について
  東京大学大学院 薬学系研究科 グローバルCOE支援研究室(加藤研究室) 加藤大
  TEL: 03-5841-1840,   FAX: 03-5841-1841  
E-mail:メールアドレス
  研究室HP: http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/CNBI/kato/index.html
(2) 制度内容について
  NEDO技術開発機構 研究開発推進部 若手研究グラントグループ
  瀧浦,松崎,千田,長崎
  TEL: 044-520-5174    FAX: 044-520-5178
  個別事業HP:産業技術研究助成事業(若手研究グラント)


【提案書】
  ・東京大学大学院・薬学系研究科からの提案
クロマトグラフィー法によるナノファイバー類の高効率な分離精製法の開発に関する提案






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