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2009.12.15
 
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
国立大学法人 岐阜大

微小空間で良質なエネルギーを安定供給できる燃焼器を開発
―ガス改質・改善,超小型ロボット組込み,ユビキタス技術(注1)などに応用期待―


 NEDO産業技術研究助成事業の一環として,岐阜大学 工学部 機械システム工学科 熱エネルギー工学講座の高橋周平准教授は,触媒ペーストを焼結させて多孔質触媒層(注2)を作成する独自の微細構造形成技術を用いて,良質な熱エネルギー(注3)を安定供給できる微小燃焼器を開発しました。1mm程度の非常に小さな空間内で5W程度の発熱量を有し,5GW/m3という非常に大きな発熱密度が実現できます。情報収集用の無人センサーのパワーソースやガス改質技術用途などで活用が期待される技術です。将来的には,電子基板上でのパワーソースとしての利用や超小型飛行ロボットの動力源,ユビキタス技術との融合といった分野への応用を目指します。

図1 製作した燃焼デモ機(左)と燃焼器内面の電子顕微鏡写真(右)
図1 製作した燃焼デモ機(左)と燃焼器内面の電子顕微鏡写真(右)
内径1mmにも満たないセラミックス管内に,多孔質状の触媒層を焼結させる手法により構築する技術で,従来では難しい微小空間での安定燃焼を維持できます

(注1)
ユビキタスとは,あらゆるコンピュータが「いつでも」「どこにでも」存在し(ネットワークに接続され),コンピュータがあることをもはや意識することなく利用している状態や概念を指す。「どこにでも存在する」という意味を持つ英語の“ubiquitous”に由来する。
(注2)
多孔質触媒層とは,モノリス状の(一体的な)微細な架橋構造を持つ触媒層を意味する。
(注3)
良質なエネルギーとは,エクセルギーが高い点熱源であることを意味する。熱エネルギーは,熱力学第2法則により,100%すべてを力学的エネルギーや電気エネルギーに変換することはできませんが,エクセルギーとは,このような熱エネルギーのなかで,力学的あるいは電気エネルギーに変換可能なエネルギー量を指します。よって,エクセルギーが高い熱源とは,利用用途の広い熱源と言えます。


1. 背景及び研究概要
 小型燃焼器は,指先以下の大きさで,燃料の持つ化学エネルギーを,燃焼技術を通して熱エネルギーへと連続的に変換することができ,従来の電気ヒーターに代わる安価な熱源,あるいは燃焼による熱エネルギーの新利用技術創成など多くの分野で注目を集めている技術ですが,これまでは非常に小さな空間内(たとえば管直径3mm以下といった環境)では,熱損失や壁面での化学活性種の失活などの理由から,燃焼を安定的に維持することが困難でした。そこで,岐阜大学工学部機械システム工学科熱エネルギー工学講座では,触媒ペーストを焼結させ多孔質触媒層を微小空間内に低コストで製作する独自の技術を利用して,0.5〜1.5mm3程度の非常に小さな空間内で安定に燃焼を維持させることができる微小燃焼器{発熱密度5GW/m3程度,高温ガス噴流1000℃以上,発熱量5W程度(白金カイロと同等)}を開発しました。デモ機として製作した燃焼器では,メタンやブタン,ジメチルエーテル(DME)を燃料とし(他の化石燃料でも利用化),総発熱量わずか5W程度ですが,サブミリサイズの空間内で燃焼させることで5GW/m3という非常に大きな発熱密度を有し,排気温度1000℃以上の良質な熱エネルギーを連続的に供給することができます。このため,従来は電気ヒーターしか選択肢のなかった微小領域の加熱用途に,高温ガス噴流を使うことができます。また,ごく微小な熱量であるにもかかわらず,エクセルギーが高い点熱源が使えることで,他のエネルギーへの高効率での変換も期待されます。これまでに熱電素子と組み合わせることで,電力への最終変換効率3.5%を記録しています。耐久性も高く,現時点で1300時間以上の連続運転を記録しています。


2. 競合技術への強み
 この技術には,次のような強みがあります。
(1)
微小空間内で安定燃焼
消炎直径以下の微小空間内(管直径1mm以下,燃焼空間0.5〜1.5mm3程度)で安定燃焼。0.3Wから10Wと幅広い出力変動にも耐えます。
(2)
良質な熱エネルギーとして利用可能
非常に大きな発熱密度(5GW/m3)・1000℃以上の高温ガス噴流を実現した良質なエネルギー(エクセルギーが高い点熱源)として利用可能。
(3)
低コスト
製造初期コストが安価。化石燃料が利用できるためランニングコストも安価。
(4)
コージェネ(分散型エネルギーシステム)
熱とともに200mW程度の電力を発生するコージェネとして利用可能。


表1 本技術と従来手法との比較表
表1 本技術と従来手法との比較表


3. 今後の展望
 岐阜大学では,全く新しい点熱源技術を利用した新領域創成に向けて,様々な業界・分野の企業・組織関係者との意見交換や共同研究を提案します。直近の優先課題・開発テーマは以下の通りです。
(1)
さらに高い耐久性(連続1万時間以上)
(2)
自然吸気システムとの組み合わせ,触媒担持量の低減および最適化
(3)
熱電素子と組み合わせての小型長寿命電源の開発(電力変換効率10%)


4. 研究者(高橋周平准教授)の略歴
1993年  東京大学工学部航空学科卒業
1995年  東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻修士課程修了
1997年  東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻博士課程中退
1999年  東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻博士号取得
1997年  岐阜大学工学部機械システム工学科助手
2000年  岐阜大学工学部機械システム工学科講師
2002年  岐阜大学工学部機械システム工学科助教授
2007年〜  岐阜大学工学部機械システム工学科准教授


5.お問い合わせ先
<本プレス発表の内容についての問い合わせ先>
  岐阜大学 工学部 機械システム工学科 熱エネルギー工学講座 准教授 高橋周平
  TEL: 058-293-2539   FAX: 058-293-2491
E-mail:メールアドレス
  研究室HP:http://www1.gifu-u.ac.jp/~wakailab/index.html
<NEDO制度内容についての一般的な問い合せ先>
  NEDO 研究開発推進部 若手研究グラントグループ 坂橋,松崎,千田,長崎
  TEL 044-520-5174  FAX 044-520-5178
  個別事業HP:産業技術研究助成事業(若手研究グラント)
<その他NEDO事業についての一般的な問合せ先>
  NEDO 広報室 坂本,萬木(ゆるぎ),田窪
  TEL 044-520-5151 


【提案書】
岐阜大学・工学部・機械システム工学科からの提案
良質なエネルギーを安定供給できる微小燃焼器の開発に関する提案





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