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2010.01.28
 
国立大学法人 東京農工大学

物質や生体内の機能特性を検出,画像化する非破壊測定技術を開発


 NEDOの産業技術研究助成事業の一環として,東京農工大学 工学部物理システム工学科の生嶋健司准教授は,物質および生体内の電気・磁気特性を,超音波によって電荷密度あるいは磁化を振動させ,その分極変化により誘起される電磁波を検出し画像化する計測技術を開発しました。従来の超音波手法では力学的特性(質量密度分布,弾性率分布)および形状以外の測定は困難でしたが,この技術により,例えば脳・神経計測であれば,イオン分布の変化を観測することでニューロン活動(注1)の本質的な脳の物理現象を検知することが原理的に可能となります。

図1 今回の技術と従来の超音波エコー法の原理・概略図比較
図1 今回の技術と従来の超音波エコー法の原理・概略図比較
(左図)新技術の概念図。対象物に内在する電気・磁気特性を調べることができる。(右図)力学的特性を測定する従来の超音波エコー法。対象物に超音波を直接当ててその反響を画像化する。形状や一部力学的特性の計測のみ可能。

(注1)ニューロン活動とは,神経細胞における膜電位のパルス状の電気信号のことであり,脳や神経における情報処理と情報伝達の物理的起源です。


1.背景及び研究概要
 超音波計測は医療診断や建築物構造検査などの非破壊・非侵襲測定として広く実用化されています。しかし,従来の超音波計測では,質量密度分布や弾性率分布などの力学的特性を反映するのみであり,物質および生体内の電気・磁気特性の測定は困難でした。
 そこで,東京農工大学工学部物理システム工学科では,超音波によって電荷密度あるいは磁化を振動させ,その分極変化により誘起される電磁波(超音波誘起電磁放射)を検出・画像化する計測技術を開発しました。イオン結晶や磁性体,骨や植物など様々な物質から超音波誘起電磁放射が検出され,現在その画像化にも成功しています。例えば,脳・神経計測であれば,イオン分布の変化を観測するため,ニューロン活動の本質的な脳の物理現象を検知することが可能になります。今回開発した計測法(ASEM法:Acoustically Stimulated Electro Magneticの頭文字)は全くの新技術構想であり,目的に応じて各要素技術を発展させることによって,圧電・磁性材料の評価,ステンレス合金の脆化検査(磁気イメージングにより金属脆化の早期発見が可能)のみならず,液晶・バッテリー等の製品評価や医療診断(骨のコラーゲン濃度測定や神経・筋肉活動の検知)など,広範囲な応用が期待されます。

2.競合技術への強み
 この技術には,次のような強みがあります。
(1)
対象物の電気・磁気特性を画像化可能
これまでの超音波測定では困難であった電気・磁気特性など機能的特性の画像化が可能です。
(2)
非破壊・非侵襲の断層画像を抽出
超音波の高い内部透過性により,非破壊・非侵襲の断層画像が取得可能です。
(3)
従来の装置との柔軟な互換性
従来の超音波装置との互換性が高く,超音波エコー画像との同時取得が可能です。超音波エコー画像と測定データを組み合わせることでたとえば異物発見だけでなくその電磁気物性の特定が可能になります。


表1 本技術と従来の超音波手法との比較表
表1 本技術と従来の超音波手法との比較表


3.今後の展望
 今後,東京農工大学では,材料の特性評価や非破壊検査分野での実用化のほか,将来的には液晶やバッテリー,燃料電池等の製品自体の性能評価や医療分野における診断測定方法としての展開を目指します。これら応用用途の探索・特定および実用化に関して,非破壊検査の技術を有する,または脳機能計測などの医療機器分野における技術を保有する企業・組織などと,意見交換や共同開発を提案します。

4.研究者(生嶋健司准教授)の略歴

1993年 早稲田大学理工学部応用物理学科卒業
1996年 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修士課程修了
1999年 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了(理学博士取得)
1999年 日本原子力研究所(現研究開発機構)先端基礎研究センター・博士研究員
2000年 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系・助手
2007年 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系・助教
2007年 ミュンヘン大学(LMU Munchen)ナノサイエンスセンター・客員研究員
2008年〜 東京農工大学大学院共生科学技術研究院先端物理工学部門・准教授
(兼任)
2008年〜 科学技術振興機構さきがけ研究者

5.お問い合わせ先
<本プレス発表の内容についての問い合わせ先>
  東京農工大学 工学部 物理システム工学科 准教授 生嶋健司
  TEL:042-388-7120   FAX: 042-388-7120  
E-mail:メールアドレス
  研究室HP:http://www.tuat.ac.jp/~ikushima/index_j.html
<NEDO制度内容についての一般的な問い合せ先>
  NEDO 研究開発推進部 若手研究グラントグループ 松村,松ア,千田
  TEL:044-520-5174   FAX 044-520-5178
  個別事業HP:産業技術研究助成事業(若手研究グラント)


【提案書】
東京農工大学工学部物理システム工学科からの提案
物質や生体内の機能特性を検出,画像化する非破壊測定技術を開発に関する提案





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