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2010.02.23
 
国立大学法人 東京工業大学
国立大学法人 東京大学

材料の構造設計・新材料探索を加速する応力・電気抵抗変化測定技術を開発


 NEDOの産業技術研究助成事業の一環として,東京工業大学 応用セラミックス研究所の松本祐司准教授と東京大学物性研究所のミック・リップマー(Mikk Lippmaa)准教授は共同研究により,組成や構造が異なる複数の試料が作製された薄膜の応力をその場で測定するのと同時に各試料の応力に依存した電気抵抗変化を高速測定(所要時間約10分)できる技術を開発しました。圧電素子と波面センサーを応力の印加と評価にそれぞれ利用することで,従来技術と比べて簡便な設計で機械的な変形を電気的な信号としてその場で変換することが可能となります。企業・研究組織を問わず,材料の構造設計,新材料探索の研究開発などを加速化させるツールとして期待される技術です。


図1 応力物性評価システムの全体構成(左)とVO2薄膜の電気抵抗の応力依存特性(右)
図1 応力物性評価システムの全体構成(左)とVO2薄膜の電気抵抗の応力依存特性(右)
応力物性評価システム(左図)をVO2薄膜の物性測定(右図)に適用しました。応力を印可した時(青)としない時(赤)の抵抗値の温度依存性を示しています。試料が膜厚方向へ0.01%圧縮する応力を印加することによって,転移温度が低温側にシフトしました。エピタキシャル歪みなどを利用した先行研究と同様な結果を得ることに成功しました。


1.背景及び研究概要
 機械的変形を電気的な信号に変換する高感度センサーは,安全・安心の重要性を重んじる昨今の社会にとって増々需要が高まってきています。たとえば,自動車業界では,自動車のハンドルとタイヤとの電子制御の信頼性を向上させる技術として,あるいは衝突防止のための車間距離測定技術などとして応用される可能性を持ちます。また,頭打ちとなりつつあるSiデバイスをさらに進化させる歪みSiによる高移動度電子デバイスにも近年着目され,スーパーコンピュータなどへの応用が期待されています。このような研究開発には様々な応力下における物性を観測する手法が不可欠と考えられます。しかしながら,応力物性を精確に評価するためには,ダイヤモンドアンビルなどの大型装置,または精密な加工が要求されるカンチレバーを利用しなければならず,既存の薄膜サンプルをそのままの形状で電気物性の応力評価を行うことができないという課題がありました。
 そこで,東京工業大学応用セラミック研究所と東京大学物性研究所では,簡便な設計で応力を制御・評価し,種々の電気物性も同時に評価 (所要時間約10分)できる応力物性評価システムを開発しました。この簡便性は,波面センサーを用いて非接触の状態で光学的に歪みの状態を測定できるシステムを構築することによって可能となります。さらに薄膜基板の折り曲げに圧電素子を導入することで,応力の制御もできるようになっています。このシステムによって,試料を光学系の中に置くだけで歪み物性の評価ができます。被測定物の歪みと物性変化を同時にプローブすることで,両者の非平衡状態における関係性を精確に得ることもできます。従来の手法では微小領域の測定の点でコンビナトリアル試料の測定が困難でしたが,8mm×4mmのサイズの薄膜試料でも計測できるようになりました。
 現在,企業・研究組織を問わず,材料の構造設計,新材料探索の研究開発などを加速化させるツールとして本技術で開発した応力物性評価システムの導入を進めています。効率良く歪みを与える手法を導入しているので,ダイヤモンドアンビルなどで報告されている超高圧の状態にも匹敵する圧力を高周波で印加することが可能です。将来的には,新しい歪み物性を発見するなど基礎科学の面でも貢献をしていく装置になるものと期待しています。


2.競合技術への強み
 この技術には,次のような強みがあります。
(1)
電気抵抗変化の応答速度を観測
歪みの時間変化に対する薄膜の電気物性変化の応答速度についても調べることができます。
(2)
物性変化を同時に測定
歪みを直接観測し,物性変化も同時に測定することで両者の関係性を精確に得ることができます。
(3)
コンビナトリアル試料の測定
従来は微小領域の測定の点でコンビナトリアル試料の測定が困難でしたが,8mm×4mmのサイズの薄膜試料でも計測することが可能となりました。
(4) 簡便かつ非接触で歪みを測定する
歪み応力を所要時間約10分と短時間で評価できます。光学手法を利用することで試料の表面には非接触で測定でき,試料の劣化も気にせず実験を進めることができます。


表1 本技術と従来手法との比較表
表1 本技術と従来手法との比較表


3.今後の展望
 今後,東京工業大学応用セラミック研究所では,この機械的な変形を電気的な信号に変換する応力物性評価システムの実用化に向けて,特に以下の課題について,材料の構造設計や新材料探索といった研究開発などを行っている企業・組織などと幅広く共同開発を進めていきます。この応力物性評価システムを利用したいと考えている企業・組織などに対してはデモ計測や技術相談に応じます。
(1)多点電気測定のワイヤーボンディングに関するノウハウの取得および蓄積
(2)真空下での低温測定が可能なシステムへの改良

4.研究者(松本祐司准教授)の略歴
1993年 東京大学理学部化学科卒業
1995年 東京大学大学院理学系研究科修士課程修了
1998年 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了
1998年 東京工業大学応用セラミックス研究所・助手
2001年 東京工業大学フロンティア創造共同研究センターフロンティア創造研究センター・助手
2003年 東京工業大学フロンティア創造共同研究センター応用セラミックス研究所・講師
2005年 東京工業大学応用セラミックス研究所・講師
2006年 東京工業大学応用セラミックス研究所・助教授
2007年〜 東京工業大学応用セラミックス研究所・准教授

(兼任)
1996年〜1997年 日本学術振興会・特別研究員

5.お問い合わせ先
<本プレス発表の内容についての問い合わせ先>
  東京工業大学 応用セラミックス研究所 松本研究室 准教授 松本祐司
  TEL: 045-924-5314   FAX: 045-924-5377  
E-mail:メールアドレス
  研究室HP:http://www.msl.titech.ac.jp/~matsumoto/
  東京大学 物性研究所 リップマー研究室 准教授 リップマーミック (Mikk Lippmaa) (日本語応対可)
  TEL: 04-7136-3315   FAX: 04-7136-3319  
E-mail:メールアドレス
  研究室HP:http://lippmaa.issp.u-tokyo.ac.jp/
<NEDO制度内容についての一般的な問い合せ先>
  NEDO 研究開発推進部 若手研究グラントグループ  望月,松ア,千田
  TEL 044-520-5174   FAX 044-520-5178
  個別事業HP:産業技術研究助成事業(若手研究グラント)


【提案書】
東京工業大学 応用セラミックス研究所からの提案
複数組成・構造製作された応力センサー材料に対応する応力・電気抵抗変化測定システム開発に関する提案





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