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2010.03.05
 
独立行政法人 久留米工業高等専門学校

任意の構造と特性をデザインできる,ナノコンポジット創製方法を開発
‐ 材料の種類,サイズを問わず,低コストで高純度な機能性複合材料が創製可能に ‐

 NEDOの産業技術研究助成事業の一環として,久留米工業高等専門学校材料工学科の武藤浩行准教授は,ナノコンポジット(注1)の原料となるセラミック粉末や,化粧品などの新素材となるミクロ構造体(注2)を,所望する機械的特性・構造で創製できる新しい複合材料創製法の開発に成功しました。母材粒子とナノ添加物の表面電荷をそれぞれ相反するようにプラスとマイナスに制御し静電吸着させることで,任意の機械的特性,電気伝導性,熱伝導性などを発現する新素材を作製できます。汎用の高分子電解質により表面電荷を制御するだけのプロセスなので,材料の種類(高分子,金属,セラミック),原料粉末の大きさ(ミリ,マイクロ,ナノ),形状(粒子,ゾル,ファイバー)などを選ばず,高純度な複合材料を低コストで創製可能にします。セラミック複合材料や化粧品に加え,将来的には医療分野(高生体親和性人工骨,ドラックデリバリー)や電子電気デバイス分野(フォトニック結晶,燃料電池用触媒層)への応用にも期待がもたれます。


 
図1 ナノコンポジット・ミクロ構造体を実現する静電吸着複合法の概略図
(左図)母材アルミナと炭素微小球表面の電荷を制御して炭素被覆アルミナ複合粒子を作製した例
(右図)左図の複合粒子を用いて炭素連続層を導入し導電性アルミナを作製した例(上)と炭素繊維表面にシリカ粒子を被覆した構造体の例(下)

(注1)
ナノコンポジットとは,所望の特性を実現するために,ナノサイズの添加物(1〜100ナノメートル)を母材内に効果的に分散・混合させて創製される複合材料の総称のことです。
(注2)
ミクロ構造体とは,ナノメートル,または,ミクロン単位の粒子を任意な幾何形状に組上げることで作製される集積体(クラスター)の総称です。


1.背景及び研究概要
 ものづくりの分野では,競争激化のために差異化要因となる機能を持つ,付加価値の高い製品を開発するための新しい材料の必要性が高まっています。所望の特性を実現する新素材としては,微粒子のレベルで微構造を調整するナノコンポジットの活用が普及しつつあり,金属,セラミック,高分子などを基にこれまでに多くの材料が創製されています。創製手法としては,最も汎用性の高い,原料粉末同士のボールミル等による機械的混合が使われていますが,混合するためのボールやポットからの汚染が避けられず,高純度材料創製には適用できません。また,粒子の分散性を高めるため,原料粒子のスラリーを混合する方法(コロイド法)では,任意の微構造デザインが不可能であることと,混合スラリーを乾燥する工程が必要になります。よって,これらの方法では,生産量の制限,特殊な装置が必要,微構造の設計が困難,長時間工程など多くの課題がありました。
 そこで,久留米工業高等専門学校材料工学科では,母材粒子とナノ添加物の表面電荷をそれぞれ相反するようにプラスとマイナスに制御し静電吸着させると任意の形状や形態のナノ集積構造体(ナノ粒子クラスター)の調製が可能となることを見出し,特殊装置が不要で低コスト,任意の微構造の設計が可能なナノコンポジット・ミクロ構造体創製技術「静電吸着複合法」を開発しました。例えば,造粒アルミナと炭素微小球によるナノコンポジット静電吸着複合の場合,アルミナ粒子の最外殻をマイナス,炭素粒子表面をプラスに調製することで静電引力により集積複合粒子を作製します。このことで,アルミナのしなり易さを倍化,または電気導電性を付与することができます。機械的混合やコロイド法ではこのような微構造制御型ナノコンポジットは決して作製することはできません。溶液プロセスにより集積複合粒子を作製するため,初期投資がほとんど要らず,既存のナノコンポジット材料創製におけるコスト削減に大きく寄与できる可能性もあります。応用用途としては,セラミック複合材料や化粧品用原材料向けナノコンポジットのほか,多孔質人工骨やアパタイトなどの医療材料,フォトニック結晶など電子電気機器材料への応用にも今後期待がもたれます。


2.競合技術への強み
 この技術には,次のような強みがあります。
(1)
高い汎用性
原料表面の表面電荷を調製するだけのプロセスなので,材料の種類(高分子,金属,セラミック),原料粉末の大きさ(ミリ,マイクロ,ナノ),形状(粒子,ゾル,ファイバー)を選びません。
(2)
複合材料の微構造を任意に制御
あらかじめ集積複合体を作製し,これを用いて複合材料を作製するため,添加物が高分散した構造や,添加物が母材内に連続して存在(添加物ナノチャンネル)構造など,任意に制御できます。
(3)
複合材料の様々な特性を発現・改善
複合材料の機械的特性(高強度・高靭性化),光学特性,電気伝導性,高しゅう動性,高熱伝導性,など様々な特性を発現させたり,改善したりすることができます。
(4)
低コストでナノコンポジットを創製
特殊な製造装置を必要としないため,初期投資が殆ど要らない,従来技術に比べて工程を少なくする等により,低コスト化が実現可能です。


表1 本技術と従来手法との比較表
表1 本技術と従来手法との比較表


3.今後の展望
 今後,久留米工業高等専門学校では,この静電吸着複合技術の実用化を目指して,生産性向上のための装置やシステム構築を進めて行きます。また,さらなる汎用性向上のために,種々の集積構造体を提案し,新規特性を有するナノ複合材料の提案を進めます。現在注力しているセラミック粉末や化粧品分野に加え,将来的には生体分野(多孔質人工骨,アパタイトナノコーティング),電機分野(フォトニック結晶)などで広く利用される技術としても応用できることを目指します。特に今回,(1)粉末プロセス技術を保有する企業・組織,(2)機能性材料の技術開発や商品開発に実績や知見を有するまたは関心をもつ企業・組織,との意見交換を含めた試作サービス,委託研究,共同開発を提案します。


4.研究者(武藤浩行准教授)の略歴
1993年 豊橋技術科学大学工学部物質工学課程卒業
1995年 豊橋技術科学大学大学院工学研究科修士課程物質工学専攻修了
1997年 豊橋技術科学大学大学院工学研究科博士後期課程機能材料工学専攻修了
1997年 豊橋技術科学大学物質工学系・助手
2009年 豊橋技術科学大学物質工学系・准教授
2009年〜 久留米工業高等専門学校材料工学科・准教授


5.お問い合わせ先
<本プレス発表の内容についての問い合わせ先>
  久留米工業高等専門学校 材料工学科 准教授 武藤浩行
  TEL:0942-35-9417  FAX: 0942-35-9425
E-mail:メールアドレス
  研究室HP:http://www3.to/sakai-matsuda
<NEDO制度内容についての一般的な問い合せ先>
  NEDO 研究開発推進部 若手研究グラントグループ 渡邉,鍵屋,松ア,千田
  TEL:044-520-5174  FAX 044-520-5178
  個別事業HP:産業技術研究助成事業(若手研究グラント)


【提案書】
久留米高専材料工学科からの提案
任意のナノコンポジット・ミクロ構造体を創製可能にする静電吸着複合法に関する提案





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