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学会イベントでの出会いを広げ研究者の連携を支援
「イベント空間情報支援システム」が本格運用へ
[2007/03/29]


 産業技術総合研究所の情報技術研究部門の実世界指向インタラクショングループ(西村拓一グループ長)を中心とした研究グループは,国際会議やセミナーなどのイベントに参加する研究者の出会いの機会を広げることを支援する「イベント空間情報支援システム」を開発した。このシステムは,WEBシステムと会場システムから構成される。この2つのシステムを連携させることにより,イベント参加者間の出会いをイベント会期中だけでなく,イベントの前後を含めて継続的に支援する。Webシステムは,独自開発した検索技術を使用して,学会イベントに参加する研究者のネットワークを自動抽出する。この技術を使うと利用する研究者にとって新規の分野でも研究者の概観や検索ができる。一方の会場システムは,ICカードなどを使用し,会場での行動や交流を記録する。これらの記録はWEBシステムに転送され,会期後のコミュニケーションを支援する。
 このシステムの開発には産業総合研究所の他に,大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立情報学研究所,大日本印刷株式会社,株式会社アルファシステムズなどが参加した。これまで4つの学会イベントに支援システムを開発し,試験運用を行なってきた。これまでの成果をふまえ,同研究グループは2007年6月の日本人工知能学会全国大会で本格運用を行なう。これにより学会支援システムとして学会からの採用を目指す。このシステムを使用することで,研究者の連携が促進され,例えば「共同研究が加速される」(西村氏)という。

 「国際会議やセミナーなど人が集まるところには,出会いが満ち溢れています。しかし実際には,たまたま会った知人との情報交換にとどまってしまう,会場での体験記録を簡単に残せないのでその後の交流が発展しにくいといった問題があります」と西村氏は語る。このような課題を解決するために,同氏らの研究グループは,出会いの場としてのイベントを支援するシステムの開発に取り組んだ。同氏らが開発したシステムの特徴は,Webと会場の両面からの支援を行うことにより,会期前,会期中,会期後を通じて継続的な支援が提供できる点である(図1)。これは,Webシステムと会場システムという2つのシステムが密接に連携することによって実現している(図2)。

Web解析により人間関係を抽出
 実際の利用イメージは,以下のとおりである。まず学会イベント参加者は,あらかじめWebシステムに登録を行う。すると「マイページ」と呼ばれる参加者のホームページが作成される(図3)。マイページには,登録した個人の名前,所属,専門分野といった研究者情報,研究発表スケジュールや聴講スケジュールに加えて,自分の知り合いを登録することができる。さらにシステムは,独自のアルゴリズムを使用して,自分と関係の強い研究者を自動抽出し,その結果をリストおよび人間関係ネットワーク図としてマイページに表示する(図4)。人間関係の抽出は,Webマイニングという技術を使用する。具体的には,2人の研究者の名前と所属を一般の検索エンジンに投入して,出現するWebページの内容の解析を行なう。そして,共著がある,同じ研究室の所属である,同じプロジェクトに参加しているなどの研究者のつながりを分析することで,関係が強い研究者や研究者グループ,中心的な研究者など研究者同士の人間関係を推定する。
 このようにしてWebシステムで収集・統合された情報は,イベント参加者間で共有される。また会場システムを使用して,会場からのアクセスも可能である。互いに面識や交流がなくても,このように研究者同士のつながりを情報化し提供することで,「会場でのコミュンケーションが促進される」(産業総合研究所の共同研究者の松尾豊氏)という。

全方位カメラで会場での交流風景を撮影
 会場では,参加者にICカードを配布する。ICカード付きの携帯電話を持っていれば,それも使用できる。それらを学会イベント会場の各会議室の入り口などに設置してあるICカードリーダーにかざすと,自分の聴講記録を作ることができる。
 さらに会場システムには,会場で発生したコミュニティを支援するための工夫がある。イベント会場では少数の人々がテーブル周辺に集まる(マイクロコミュニティ)ことが解っている。これに着目して,テーブルでの交流の模様を写真撮影し,そこで生まれた研究者のつながりを記録するのである。このために産業総合研究所の共同研究者である藤村憲之氏らが開発したのが,「Tabletop Community」。これは全方位カメラをテーブルの中心に置き,その周りにICカードリーダーを配置したシステムである(図5,図6)。利用者が,それぞれのICカードをICカードリーダにかざすとIDが認識され自動的に撮影が行われる。ICカードリーダーに置かれたICカードの位置から,撮影された参加者が誰であるかが判別される(図7)。このシステムを使用することにより,会場で生まれた研究者間のつながりが視覚化され,その結果コミュニティの形成促進を支援することができる。

博物館や展示会などのイベントへの応用も
 今後西村氏らのグループが開発したシステムは,広く応用が可能であるという。同グループが現在構想を練っているのは,博物館や展示会への応用である。ここでは来館者と展示品との出会いを導くことを目的としている。具体的には,“作品と作品の関係”や“作者と作者の関係”を抽出し,それらのつながりを視覚化する。例えば作品と作品の関係にはお互い影響を受けた作品という関係が,作者と作者の関係には作者の師弟・交友関係などが考えられるという。このような情報を来館者に提供することにより,展示品の見逃しを防ぎ,出会った展示品についてはより深く知ることができる。また会場システムでは,気軽に見学記録を残すことを支援する。来館者には,自分の見学記録を残すページが与えられ,会場内で手軽に写真のアップロードやコメントを書き込めるような仕組みを考えているという。
 なお,西村氏のグループはこの研究に関して,独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)の産業技術研究助成事業から助成を受けている。


図1:WEB支援と会場支援
WEB支援と会場支援

図2:システムの構成
WEB支援と会場支援

図3:マイページのイメージ図
マイページのイメージ図

図4:自動抽出された人間関係ネットワーク
自動抽出された人間関係ネットワーク

図5:Tabletop Community概念図
Tabletop Community概念図

図6:Tabletop Community運用例
Tabletop Community運用例

図7:Tabletop Communityで得られる画像の概念図
Tabletop Community運用例


記事要点掲載先:日経BP.netTech-On!


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