技術&事業インキュベーション・フォーラム



ランドウォーカー,前輪2輪の独自構造を
採用した自転車を,5万円台に大幅低価格化

後輪2輪も開発,「ユニバーサル・デザイン」で新市場を開く
[2005/02/04]

 「独立懸架式フロント・システム」と呼ぶ前輪2輪の独特なスタイルを採用して走行安定性を高めた自転車を,このほど開発元のランドウォーカー株式会社(本社:熊本県熊本市)が大幅に低価格化した。フレームを鋳造で製作し,従来は十数万円した販売価格を5万円台にできるとしている。

 ランドウォーカーの自転車は,独立懸架式の前輪2輪構造を採用。この右輪,左輪が独立して動き,しっかりと路面を捉えるため,安定性が飛躍的に高まった。ゆっくりと走る高齢者も安心して乗れる自転車として,一部で注目を集めていた(図1図2)。

図1:ランドウォーカー「LW3011」
図1:ランドウォーカー「LW3011」
価格は13万4,400円。http://www.landwalker.co.jp/から,オンラインで注文できる。
図2:折り畳みできる「Rabbit」
図2:折り畳みできる「Rabbit」図2:折り畳みできる「Rabbit」
価格は10万2900円。

 ランドウォーカーは,熊本市で自動車部品メーカーの株式会社フタバを経営する木下龍起氏が,開発プランを持ち込んだ技術者のアイデアに惚れ込み,これを事業化するために新会社として設立した。地元の有力企業を育てる肥銀ベンチャーキャピタルも出資している。

テスト生産の40台を1ヶ月で完売
 自転車をめぐる事故が,近年になって多発している。特に問題となっているのが,子供を乗せた主婦や高齢者の転倒事故である。死亡事故につながるケースも少なくない。車道から歩道に乗り上げる時,前輪が段差にひっかかり転倒しそうになった経験を誰もが持っていることだろう。実際にこうした些細な転倒トラブルから重大な事故に発展するケースが後を絶たない。
 実は,ランドウォーカーの自転車も,開発担当取締役の稼農公也氏が,たまたま身近で子供を自転車に乗せた主婦の転倒事故を目撃したことが開発のキッカケになった。さまざまな技術的な改良,試行錯誤を重ね,完成した前輪2輪の自転車は,転倒の原因になる段差を楽々と乗り越えていった。テスト生産された40台は大きな反響を呼び,1ヶ月で完売した。2004年の年末からは,前輪2輪の機構に改良を加え。フレームを鋳造で作った普及品を5万円台で提供し,さらに幅広いユーザーの期待に応えていく。
 最近の自転車業界は,中国からの輸入自転車などに押されて,価格競争になっている。ただ,「ユーザーの声に耳を傾けると,安いだけの商品に必ずしも満足していないことがわかった」と稼農氏は新しい市場の可能性について熱っぽく語る。

アクティブシニア層への関心が高まる自転車市場
 ここ数年,健康や環境問題への関心の高まりなどを背景に,自転車が大きなブームになっている。1万円以下の安い中国製の自転車がスーパーの店頭に並ぶ一方で,ファッション性やスポーツ性に重点を置いた20万円を超える自転車が専門ショップで人気を呼び,着実に市場を伸ばしている。
 こうした付加価値の高い高額な自転車のユーザーになっていたのは若者が中心だったが,ここにきて「アクティブシニア層」と呼ばれる高齢者の存在に注目が集まっている。
 2007年から2010年にかけて,日本の企業社会を引っぱってきた団塊世代が大量に定年退職を迎え,地域社会に回帰していく。その数は900万人に上ると言われる。オフィス街でタクシーや社用車を乗り回していた団塊世代は,リタイアすれば今度はコミュニティで「自転車」に乗り換えることになるだろう。
 自転車やオートバイのメーカーは,こうした団塊マーケットの成長への期待から,シニア向け商品のラインアップに力を入れ始めている。その場合の商品開発のポイントは「安心・安全」である。

カッコイイ三輪車も登場
 ランドウォーカーは,昨年11月に東京ビッグサイト開催された「2004東京国際自転車展」で,前輪2輪タイプの従来製品に加え,独立懸架式の後輪2輪タイプとした新3輪車の試作品を発表した。「スパイダー」と名付けられた試作品を展示するブースには,中高年のユーザーで人だかりができていた。
 シニア向け3輪車というと,体力が落ちて2輪の自転車を乗りこなせなくなった老人向けというイメージがあるが,独立懸架式の採用によって,新3輪車スパイダーは,3輪車の安定性を保ちつつ軽快なコーナリングや小回りが可能となり,従来の鈍重なイメージから一新された。
 「人や環境にやさしいユニバーサル・デザインは,まずカッコイイことが必要。元気なシニアの皆さんは,老人扱いをされることを最も嫌うからです」とランドウォーカーの稼農氏は言う。
 イベント会場に設けられた試乗広場では,中高年たちが喜々としてこのスパイダーを乗り回していた。スパイダーが製品化されるのは,早くても2005年以降となる予定だが,ユニークなデザインで新たな市場開拓に取り組むランドウォーカーに熱い期待が集まっている。

図3:後輪2輪タイプの試作品「スパイダー」も発表
図3:後輪2輪タイプの試作品「スパイダー」も発表図3:後輪2輪タイプの試作品「スパイダー」も発表
(加藤芳男)




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